今回は、長い前提を経て会社員の税金を減らす「具体的な手段」について解説していきます。
なお内容は、大きく以下の4区分に分けています。
・年末調整
・確定申告
・働き方改革
今回は、「申告なし」「年末調整」で税金を減らす手段について取り上げていきます。
過去に個別解説しているものも多いので、そちらに関してはリンク貼っておくので、参照してみてください。
また、HigeDaoの独断と偏見による「おすすめ度」と「使いやすさ」「難易度」をそれぞれ「S~C」でランク付けしています。高ランクほどおススメで、使いやすく、難易度も低いと考えていただければと思いますので、始める際の参考にしていただければ幸いです。
「申告なし」で利用できる制度
まず、この「申告なし」というの用語の意味について
これは、「年末調整」や「確定申告」が不要という意味です。
以下の制度を利用するうえで、必要書類を記載することにより一定条件までであれば、申告は不要になる制度なので、状況によっては「確定申告」が必要になりますので、注意は必要です。
ふるさと納税
・使いやすさ:S
・難易度:A
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付ができる仕組みのことで、所得による上限はありますが、実質自己負担額2,000円で税金の還付・控除が受けられ、さらにお礼品として、自治体から特産品や宿泊券などをもらえます。
年間寄付先が5自治体以内であれば、年末調整や確定申告も必要ないため、非常に使いやすい制度です。
自己負担額2,000円の上限についても概算額は「ふるさとチョイス」などの大手サイトであれば、計算できるツールがありますし、メジャーな制度で情報収集もしやすいため、あまり難しさを感じず、かつ返礼品を楽しみながら取り組めるので、入口として非常に始めやすい制度です。
個人的には、あまり欲しいものがないことや、高所得者ほど自己負担額2,000円の上限額が増える高所得者優遇の仕組みは少し残念なので「A」にしています。
まー寄付という名目で、返礼品が貰えるだけありがたいですが…
詳しくは、以下を参照してみて下さい。
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NISA
・使いやすさ:S
・難易度:B
NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
対象者 | 日本居住の20歳以上の方 | 日本居住の0歳~19歳の方 (口座開設年1月1日時点) | |
年間上限額 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
非課税期間 | 最長5年間 | 最長20年間 | 最長5年間 |
投資商品 | 国内株式 国外株式 株式投資信託 不動産投資信託 etc | 指定の株式投資信託のみ | 国内株式 国外株式 株式投資信託 不動産投資信託 etc |
メリット | ・投資商品の選択肢が多い ・年間120万円の非課税枠 ・自分で売買のタイミングを決められる | ・非課税期間が最長20年 ・決まったタイミングでの自動買い付けのため、初心者でも始めやすい ・国が定めた投資信託商品のため比較的投資リスクが少ない | ・子どもや孫の将来に向けた資産形成を早い段階で出来る ・投資商品の選択肢が多い |
デメリット | ・非課税期間が5年と短いため、長期投資目的だと非課税の恩恵が薄れる ・自分で投資商品を選択するため、投資知識が必要となり、「つみたてNISA」と比較すると損失リスクがある | ・投資商品が投資信託に限られる ・年間非課税額が40万円なので、長期的運用が必要 | ・18歳まで引出制限あり ・非課税期間が5年と短いため、長期投資目的だと非課税の恩恵が薄れる ・金融機関の変更ができない ・自分で投資商品を選択するため投資知識が必要となり、「つみたてNISA」と比較すると損失リスクがある |
現在、NISAで使える制度は上記3つがあり、各個人の状況に応じて自由に制度を選択・変更できるため非常に使いやすいです。
とはいえ、NISAの制度理解は情報が多くとっつきにくい点もあること、投資になるのでやはり自分で投資先についても勉強する必要があります。
以前「投資に関する確定申告」の記事で少し触れた「配当所得について所得税の確定申告では総合課税を選択し、住民税については個別申告をすることで申告不要を選択し、その申告者の所得によっては所得税が還付され、かつ、住民税についても申告不要時[…]
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「年末調整」で利用できる制度
13種類の控除一覧
まず簡単に年末調整で受けられる控除を確認しておきましょう。
各控除内容については、最後の年末調整関連の記事から参照してください。
無条件控除
・給与所得控除
人的控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・障害者控除
・寡婦控除、寡夫控除
・勤労学生控除
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物的控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・住宅借入金等特別控除(2年目以降)
物的控除とは、各種保険料や掛金、住宅ローンの支払い状況によって受けることのできる控除です。
住宅借入金等特別控除については、1年目は確定申告が必要で2年目以降年末調整で行うことができます。詳細は、次回解説します。
この項目は、人的控除と異なり保険や住宅ローン等の加入によって控除を受けられるため、自分の意志で受けることのできる控除です。ただ、あくまで主体は何かあった時の保険という意味合いが強いため、資金状況を圧迫してまで控除を取りに行くほどのものではありませんので、個人のライフスタイル、資金状況に合った保険等の加入をおススメします。
今回は、この控除のうち「小規模企業共済等掛金控除」の控除に参入することができる個人型確定拠出年金、いわゆる「iDeCo」について簡単に紹介していきます。
前回の「扶養控除等申告書」に引き続き、今回は「保険料控除申告書」の書き方について解説していきます。保険料控除申告書とは、個人で契約した生命保険や地震保険などについて、1年間で支払った保険料から計算した所得控除の金額のことを申告する書[…] 前回に引き続き「保険料控除申告書」の書き方パート2です。今回は「地震保険料控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」の3種類の控除申告の書き方について解説します。地震保険料控除[…]
iDeCo
・使いやすさ:A ~ C
・難易度:B
iDeco(イデコ)とは、個人型確定拠出年金のことで、国の年金だけでは足りない老後資金を税金メリットのある仕組みを使って積み立てていく制度です。口座開設後に毎月自分で掛金を出して投資信託や預貯金などで運用していきます。
iDecoを使って老後のために積立をすると、毎月の掛金を支払う時には、その掛金が所得控除の対象となります。この控除が物的控除の中の「小規模企業共済等掛金控除」となります。
上記「ふるさと納税」や「NISA」に並んでよく聞く節税策に挙げられますが、個人的には、あまり推していません。
過去にもその理由については書きましたが、iDeCoについては、しっかりとした出口戦略を立てられ、かつ、他の制度以上に制度を理解して、初めておススメの節税策といえます。
この出口戦略というのは、
「iDeCoを取り崩して、年金として受け取る時のことを考えておこう」
ということです。
というのも、あまりにも目先の所得控除や無税などの触れ込みが一人歩きしていること印象があるからです。
以前、某金融機関の若い営業の子が、偉そうに「iDeCo」の偉大さを熱弁しておりました
何も知らんふりして話聞いていたら、
「年金受取時も一括受取で退職所得控除を使えば、税金かかりませんよ」
とほざいていました。
録音しとけばよかったとつくづく後悔しております。
というのも税金かからないというのは、大きな間違いで、状況によりけりです!!
だからこそ是非制度を理解のうえ、「iDeCo」は利用していただきたいと思います。
しっかり理解して利用できれば「iDeCo」についてもオススメの制度の部類にはなりますが、多少税金の知識が必要になるので税理士やファイナンシャルプランナーなどに相談された上で利用する方が安パイな気はします。
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さいごに
ここまで、「申告なし」「年末調整」で利用できる税金を減らす手段について紹介してきました。
なお、ここまでで紹介した制度は、「確定申告」でも利用することができますので、もし漏れがあれば「確定申告」で利用していきましょう。
次回は、「確定申告」で利用できる税金を減らす手段について紹介していきます。