社会保険料節約の秘技7選

私たちが穏やかな人生を送るうえで欠かせない社会保険制度ですが、社会保険料の金銭負担は会社にとっても、従業員にとっても大きな負担です。

ただ、社会保険料は、会社の取り組みや時期をずらすだけで、節約することができます。

今回は、この社会保険料を節約する技について一般的に法律上問題とならない適切な方法7つを解説していきます。

4月から6月は残業を減らす

社会保険料の金額は給与額に応じて決まりますが、この社会保険料の計算基準となる給与は、毎年4月から6月の3ヶ月間の給料です。

この3ヶ月間の給与の平均額を基に標準報酬月額が決定されます。

標準報酬月額は、毎月の保険料(健康保険や介護保険、厚生年金保険)を計算するための基準となる金額であり、厚生年金保険の場合は32段階、健康保険の場合は50段階の等級に分けられ、等級ごとに標準報酬月額が定められています。

この計算の基準となる給与は額面給与ですので、各種手当や残業代も含まれますそのため、残業代が給与に多く含まれる場合には、その分だけ社会保険料の負担も増えてしまいます。

多くの会社は3月末決算であることを考えると、4月から6月は繁忙期になることが考えられ、この計算期間の設定は中々いやらしくも感じますが、業務的に可能であれば、毎年4月から6月の3ヶ月は残業を抑制した方が良いです。

ちなみに、企業の決算期は自分で決めることが出来るので、事業の繁忙期の兼ね合いや業界的な縛り等がないのであれば、3月末決算は避けた方が良いです。

中小企業でも、暦上のキリの良さや大企業に倣って会社の決算月を3月末にしたがる会社がそこそこあります。しかし、この時期は会計士や税理士などの専門家は繁忙期で、サービスの質は確実に他の月に比べると落ちますし、場合によっては3月末決算の法人には追加料金を請求しているところもあります。また納税も発生する場合、事業との兼ね合いで資金繰りも考慮する必要もありますので、決算時期は内部要因だけでなく、外部要因も含めて決定する必要があります。

給与改定を7月にする

日本では4月から新しい年度が始まるため、多くの会社では、役員や従業員の昇給を行う場合、4月に改定することが多くなっています。

しかし、社会保険料の計算基準となる給与が、毎年4月から6月で決まることを考えるのであれば、4月に昇給してしまうのはあまりオススメできません。

そのため、給料改定の時期を7月にしてしまえば、給与昇給分が社会保険料に反映されるのは、翌年からになるため、社会保険料負担の増加を先送りにすることができます。

賞与を給与に割り振って支給する

社会保険料計算上の報酬上限額は意外と低く、報酬月額は135万5,500円を超えると上限額に達します(東京都の場合)。

つまり、それ以上多く賞与を支払っても社会保険料は変動しないということです。

給与負担額の多い社員や経営者などに対して、毎月支払う給与の額がすでに報酬月額の上限を超えている場合、賞与の支給をやめて、毎月の給与に分割して上乗せしてしまえば社会保険料の負担を抑えることができます。

ただし、毎月の給与額が高額になると、今度は所得税・住民税の負担が増えてしまいます。

社会保険料と異なり、所得税・住民税の負担は給与額に応じていくらでも増えていき、むしろ高所得であればあるほど高税率になるので、仮に社会保険料が抑えられても、それ以上に税金の負担が増えてしまえば意味がありません。

そのため、しっかり社会保険料と税金のバランスを考えてシミュレーションをする必要があります。

高額な役員賞与の支給を年1回にする

経営者に賞与を支給する場合、支給額は相応に高額となっていることが多いでしょう。社会保険料は賞与でも発生するため、賞与が高額だと社会保険料の負担も大きくなります。

しかし、「健康保険」と「厚生年金」の保険料には上限額が定められており、一定上限に達した場合どれほど賞与の額を大きくしても保険料の負担は増えません。そこで、高額な賞与を経営者などに支給する場合には、年1回の支給でまとめて支払ってしまえば、社会保険料の負担を減らせます。

ただ、これを利用して、毎月の給与を極限まで低くして、賞与で莫大な金額を支給して社会保険料を節約するという極端なスキームが一時流行しておりました。たしかに現行ルール上は問題ないようですが、あからさまに社会保険料負担を減らす目的なのが丸見えなので、今後ツッコまれる可能性は大いにあるのではないかと感じております。

なので、正直あまり理解せずにされるのは危険ですので、もしされるのであれば専門家の指導の下、根拠を持ってされることをオススメします。

入社・退社時期の調整

社会保険の加入時期は入社した月、脱退日は退職した日の翌日となります。

つまり、会社からすると、何月であっても月末に入社したり、月の最終日に退社すると、社会保険に加入する月が増えてしまうため、社会保険料の負担が増えます。

例えば、3月30日入社、翌年3月31日退職の場合、社会保険の加入期間は3月から翌年4月までの14ヶ月間になります。

ただ、入社日と退職日をズラして、4月1日入社、翌年3月30日退職に変更すれば、社会保険の加入期間は4月から翌年3月までの12ヶ月間になります。

従業員側としては、前者の方が社会保険料の個人負担が減り会社側としては、後者の1日入社、月末前退職が社会保険料の会社負担が減ります。

入社時期と退職日をそれぞれ1日ズラすだけで社会保険の加入期間が2ヶ月も変わり、その分社会保険料の負担が減ります。

ただ、個人も会社側もお互い社会保険料負担は減らしたいに決まっています。

あからさまにどちらかの都合の良い時期で入退社日を決めると、まー心象はあまり良くないと思うので、しっかりと個人と会社側で入退社日は決定すべきです。

交通費支給の調整

社会保険料の基準となるのは、毎年4月から6月の給与額ですが、これには通勤手当などの交通費も含まれます。そのため、毎年4月から6月の間に半年分や1年分の交通費をまとめて支給してしまうと、社会保険料の負担が増えます。

交通費によって社会保険料の支払いを増やさないためには、4月から6月以外の月に半年分まとめて支給するのが一番です。最近は、毎月支給する会社が多いですが、この場合には4月から6月の給料も交通費分増えてしまうため、社会保険料の負担が増える可能性があります。

また、交通費が社会保険料に関係するということは、遠方に住む役員や社員がいる場合は、社会保険料の負担が増えるということなので、その場合には、より交通費の支給時期に注意が必要です。

給与・賞与を退職金として積立

給与や賞与と異なり、退職金には社会保険料は発生しません。

また、退職金は給与や賞与よりも所得税の税率が低かったり、分離課税が適用されるなど、税制上非常に優遇されています。

そこで、給料や賞与を増やすことで会社と個人両方にとっての社会保険料負担を増やすくらいなら、給料や賞与の一部を退職金として積み立ててしまった方が長い目で見ると負担が軽くなります。

さいごに

社会保険料を減らす7つの技を紹介してきました。

今回触れた話の中で、社会保険料を抑えるうえで、覚えておくべき重要な項目は以下3点です。

・社会保険料の計算基準となる給与期間は、毎年4月から6月の3ヶ月間の給料
・社会保険料の計算基準となる給与額には、残業代や通勤手当などの交通費も含まれる。
・社会保険の加入時期は入社した月、脱退日は退職した日の翌日

今回紹介した技の大部分が、これらを抑えることによる節約です。

そのため、経営者や実務担当者は、最低でもこの3項目についてはマストで知っておくべき内容です。

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