損益計算書⑤ 損益計算書分析

今回は、損益計算書の最終章として実際の損益計算書を見て、それぞれ分析していきます。

決算確定後

決算確定後、法人税等の税金を計上する仕訳を追加しておきます。前回までで作成した帳簿を基に会計上の利益を確定し、法人税等の計算を行います。

㉑ 決算が確定し、法人税等15万円を未払計上した。

(法人税等)150,000 (未払法人税等)150,000

法人税等は費用の発生未払法人税等は翌期に法人税等を支払う義務(債務)であり負債の増加となり、費用の15万円発生、負債の15万円減少という仕訳になります。

なお、この法人税等という勘定科目は法人税、住民税及び事業税の略称をいい、今決算で納税すべき金額を一括でまとめた科目で、損益計算書上は税引前当期純利益の下に記載されます。

以下は上記含め過去の仕訳を反映した損益計算書と貸借対照表となります。

損益計算書についてはそれぞれ

青色=収益(プラス)

赤色=原価、費用、損失(マイナス)

黄色=利益(プラスマイナスの結果)

で分けています。

おさらいとして、まず損益計算書を見るポイントは3つ

『収益』と『利益』は異なるものである
『収益』と『費用』は一定の性格ごとに分類される
『利益』は5種類ある

そこを踏まえて、損益計算書をそれぞれ4階層に分けて説明していきます。

第一階層

まず 会社の本業の成果たる売上高記載され、そこから売上高に直接要した費用の売上原価を差し引きます。売上原価の計算は、開業初年度で期首に商品がないため「当期の仕入れー期末商品棚卸高」を差し引いた30万円が売上原価となります。

なお、これは簿記の試験とか実務的なところですが、損益計算書の期末商品棚卸高の金額は、貸借対照表の商品の金額は、決算期末において金額は一致しますので併せて覚えておきましょう。(赤い☆ついてるところ)

その下に最初の利益項目である売上総利益(粗利益)が表示されます。モノの販売に依存する製造業や物品販売業では、製品や商品の単純な採算を図る部分として重要視される利益であり、ここである程度の利益を出しておかなければ、以下の販売費及び一般管理費など会社を継続していくために必要な固定費等をまかなえなくなるので、それなりの利益を出すことが求められます。

第二階層

次に会社の営業活動に要した費用である販売費及び一般管理費が表示されます。販売費及び一般管理費は、サービス業などであれば、モノを製造、仕入れしないことから売上原価がないことも多く、人件費などの経費が販売費及び一般管理費が大部分を占めます。

そして売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた、本来の会社の収益力を示す営業利益が表示されます。本業を総合的に判断する利益のため、ここで利益を出せていない会社は本業が上手くいっていない可能性があり、たとえこの下の経常利益や当期純利益が良かったとしても翌期以降マイナスになる可能性は大いにあります。

ここより下の営業外損益や特別損益は、名の通り本業以外の財務や臨時的な部分の項目であるため、一般的な会社においてそこまで毎年大きく動くことのない項目なので、ここで利益を出すことは会社の命運を握るといっても過言ではありません。

第三階層

ここではまず、本業以外の財務、投資活動で生じた収益である営業外収益と営業外費用が表示されます。今回は本業による収益ではない補助金収入(前回参照)と借入金の利息の支払いが計上され、営業利益から営業外損益を差し引いた、会社の総合力を示す経常利益が表示されます。

この例では、経常利益の金額は営業利益を上回っています。会社設立時などにおいては、様々な補助金や助成金が受けられることから、稀にこのように営業利益を上回るようなこともあります。

本来的には、売上総利益 > 営業利益 > 経常利益 > 当期純利益が基本的な損益計算書の形です。

もし設立後何年か経ったような会社で、今回のようにどこかの利益が逆転している場合

・補助金や助成金
・災害損失などの臨時的な損益
・大きな設備投資による減価償却

など何かしら本業以外で意図のある出来事がある場合が多いので注意が必要です。

経常利益については、一般的に会社を継続していくうえで会社の総合的な力量を推し量る利益として金融機関の融資で営業利益と同列で重視する利益とされます。

よく「営業利益、経常利益のどっちが重要か?」という論争をたまに見ますが、会社、業界、論点によって重視される利益は大きく変わるため会社の適正な力量を推し量るには、やはり総合的に決算書を見る力が必要となりると思います。

第四階層

ここではまず、臨時的に生じた収益である特別収益と特別損失が表示されます。今回、特別収益の項目については該当するものがないため、当該項目については記載されていません。

特別損失は自動車事故により廃車したときに計上したもので、基本的には毎期計上されるようなものではありません。これがもし翌期以降も経常的に損益計算書に記載されるようなものであれば、それは臨時的な取引とはいえないので、営業外費用に該当するものと考えられます。

今年であればコロナにより業績が悪化したことによる何かしらの損失が臨時的に計上されることが考えられると思います。

そして、経常利益から特別損益を差し引いた、会社の最終的な税金を支払う前の利益を示す税引前当期利益が表示され、ここから税金を差し引いた利益が当期純利益です。

会社の今期のすべての成果を表すのが当期純利益であり、1年の会社の成果をしっかり確認するのはやはりこの当期純利益となります。

なお、損益計算書の当期純利益の金額は、貸借対照表の繰越利益剰余金の金額と同額となります。貸借対照表の繰越利益剰余金の金額は、過去からの利益の積み上げであるため、これからの会社の利益が積みあがった金額となります。

なので、もし2期目で当期純利益が100万円でたとすると、2期目の貸借対照表の繰越利益剰余金の金額は132.8万円となります。

この繰越利益剰余金の金額は、利益剰余金、俗にいう内部留保といわれるものです。最近も内部留保については色々言われていますが、一つ抑えておくべきは、内部留保=短期的な資金力、会社の現在の強さという訳ではないので、注意しましょう。内部留保は、過去からの利益の積み上げであり、現在の会社の状況をイコールで示すものではないことは覚えておきましょう。

さいごに

損益計算書について5回にわたり説明してきましが、少しは理解が深まりましたか?

様々な会社の貸借対照表や損益計算書を見ていくうちに雰囲気をつかんでいけるかなと思いますので、興味のある方は上場会社の決算書見ても面白いと思います。

なお決算書の分析を行う場合の注意点としては、1期間や1つの会社単体で判断するものではありません。

・自社の過去との比較(最低でも3期)
・同業界の会社との比較
・目標とする会社との比較

これら3つの比較を行うことで、初めて自社の立ち位置、今後の課題が明らかになります。

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