今回は今までの損益計算書のポイント踏まえて、実際に期中の取引を仕訳を作成していき、損益計算書を作成するところまでを見ていきます。
- 1 損益計算書が出来るまでの流れ
- 1.1 ⑬ 商品30万円を掛仕入れした(商品30個×10,000円)
- 1.2 ⑭ 従業員に給料10万円を預金から支払った(社会保険料は加味しない)
- 1.3 ⑮ 2/12に購入した自動車(65万円)が3/27の事故で廃車となった(減価償却費は2万円で処分時の諸費用は加味しない)
- 1.4 ⑯ ⑬で仕入れた商品のうち20個を40万円で掛販売した(売価:20,000円/個)
- 1.5 ⑰ 借入金の利息12,000円が預金から引き落とされた
- 1.6 ⑱ 補助金が採択されたことにより資金100万円が入金された。
- 1.7 ⑲ 決算処理のため機械装置の減価償却を30,000円計上した
- 1.8 ⑳ 決算処理のため商品の棚卸処理をして、期末に抱える在庫を商品に振り替えた
- 2 さいごに
損益計算書が出来るまでの流れ
「貸借対照表②」の記事で作成したデータにさらに取引をいくつか足していき、損益計算書を作成していきます。今回も個々の取引についてしっかり解説入れていますので、簿記の理解を深めるためにも参考にしてもらえればと思います。
今回のストーリーとしては、2月1日に会社設立して2か月後の3月31日に決算を迎えるというシナリオです。
なお、余談ですが「会社=1年」というイメージを持たれている方も多いと思いますが、設立時や特例的に会計期間を短くすることも可能なので、会計期間が1年未満ということもレアではありますが、十分あり得るので知っておきましょう。
⑬ 商品30万円を掛仕入れした(商品30個×10,000円)
仕入れは費用の発生、買掛金は将来お金を支払う義務(債務)であり買掛金の増加による負債の増加となり、費用の30万円発生、負債の30万円増加という仕訳になります。
⑭ 従業員に給料10万円を預金から支払った(社会保険料は加味しない)
給料は費用の発生、預金の減少は資産の減少となり、費用の10万円発生、資産の10万円減少という仕訳になります。
本来給与については支払ったタイミングで、会社が社会保険料や個人に係る税金を差し引くのですが、これを説明するのは中々厄介なので今回は省略しています。また経理<実務を触れる機会があれば説明したいと思います。
⑮ 2/12に購入した自動車(65万円)が3/27の事故で廃車となった(減価償却費は2万円で処分時の諸費用は加味しない)
(固定資産除却損)630,000 (車両運搬具)630,000
当月に購入して翌月事故って廃車にするなど、なかなかのトラブルメーカーですが、例題ということでご容赦ください。
固定資産を処分するときは、その処分時の価値に計算し直さなければなりません。時の経過により価値を減少させる「減価償却」を計算し、諸々係る諸費用を差し引いて損益を計算します。
今回は、2月購入で3月事故で廃車のため、2か月間使用(1月未満は1月利用)したことによる減価償却の計算が必要となります。
減価償却の仕訳は以下の2通りがあり、会社によって処理を選べます。
(減価償却費)××× (固定資産)×××・減価償却費を累計額として蓄積する方式
(減価償却費)××× (減価償却累計額)×××
今回は、直接減額する方法でやっていきます。
なので、減価償却費は費用の発生、減価償却費による価値の減少は資産の減少となり、費用の2万円発生、資産の2万円減少という仕訳になります。
次に、損失部分の仕訳は、諸費用は加味しないので、車両価格全額が損失となり、損失は費用の発生、事故により廃車したことにより資産たる車両が減少となり、費用の63万円発生、資産の63万円減少という仕訳になります。
事故で廃車になる取引なんてそうしょっちゅう起きることではありませんので、臨時的な取引のため、損益計算書上は特別損失の項目に収容されます。
その後、保険金などを受け取った場合は、保険金の入金のタイミングにもよりますが、2パターン考えられます。
(預金)××× (保険収益)×××・特別損失の固定資産除却損と相殺する仕訳をきる
(預金)××× (固定資産除却損)×××
のいずれかになると思いますので参考程度にどうぞ。
⑯ ⑬で仕入れた商品のうち20個を40万円で掛販売した(売価:20,000円/個)
売掛金は将来お金を支払ってもらえる権利(債権)であり、売掛金の増加は資産の増加、掛販売は売上という収益の発生となり、資産の40万円増加、収益の40万円発生したという仕訳になります。
⑰ 借入金の利息12,000円が預金から引き落とされた
借入金の利息は費用の発生、預金の減少は資産の減少となり、費用の1.2万円発生、資産の1.2万円減少という仕訳になります。
利息の支払いは財務取引に該当し、損益計算書上は営業外費用の項目に収容されます
⑱ 補助金が採択されたことにより資金100万円が入金された。
資金の入金は資産の増加、補助金採択による収入は収益の発生となり、資産の100万円の増加、収益の100万円発生したという仕訳になります。
補助金の収入はあくまで本業によるところの収入ではないので、雑収入として営業外収益にいれています。雑収入は色んな本業以外の収益について使われやすい勘定科目で基本的には営業外収益に配置されます。
ただ、会社によっては補助金収入は臨時的な取引とも考えらえれので、特別利益に入れる会社もあるかもしれません。ここら辺は会社によっての考え方や、継続的に受給しているか否かなどによって判断は変わってきます。
まー正直細かいこと言うと、どちらに記載されていても内訳さえわかれば問題ないです。
⑲ 決算処理のため機械装置の減価償却を30,000円計上した
減価償却費は費用の発生、減価償却費による価値の減少は資産の減少となり、費用の3万円発生、資産の3万円減少という仕訳になります。
基本的に減価償却費の計上は、会計期間の途中で売却等の処分などがない限り、決算のタイミングでまとめて計算します。
⑳ 決算処理のため商品の棚卸処理をして、期末に抱える在庫を商品に振り替えた
期末商品の繰越仕訳です。⑬で仕入れ、⑯で販売した商品が10個在庫としてあるのでこれを期末に抱えている商品として会計上在庫に加える仕訳が上記仕訳です。
仕入れた商品のうち残ったものを、繰越商品という資産勘定に振り替えるので資産の増加、費用たる仕入れを減らすことで、売上原価の調整をしているため費用の相殺となり、資産の10万円増加、費用の10万円相殺という仕訳になります。
ちなみに翌期の期首の商品の繰越の仕訳は
になります。
期首にまた商品を仕入れたという仕訳を切ります。よく簿記の授業では、期首と期末の商品の繰り越し仕訳をまとめて「しーくりくりしー」といわれるやつです。
実務的には会計システムに反映させるために、下記の仕訳を切っています。簿記の試験的に上の仕訳が正しいのであくまで実務的な仕訳です。
以上少し説明が長くなりましたが、これらの取引と以前までの仕訳を加味した仕訳帳ものをまとめて下記に貼っておきます。3/15からが今回の仕訳です。
上の仕訳帳を反映した損益計算書が下記になります。貸借対照表も一緒に乗っけときます。
さいごに
ここから説明入れていくと長くなるので、損益計算書の説明は次回に回します。
過去の仕訳も併せて仕訳帳には乗せているので、内容がわからないようであれば、
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