「会社員+個人事業主」の二刀流【シミュレーション編】

前回の続きで、「会社員+個人事業主」のススメです。

メリットは、

1、リスク分散

2、各種補助金などの制度が受けられる

3、新たな出会いやスキルの取得

ときて、次が最後で最大のメリットです

節税面

「会社員+個人事業主」の一番のメリットは、なんといっても所得の分散による節税がしやすいからです。

要は両者のイイとこどり

会社員

会社員は、毎月の給料から所得税と住民税が源泉徴収され、年末調整で最終納税額が調整されます。

大部分の会社員の方は、毎月の給与から勝手に税金が差し引かれており、確定申告も基本的には不要な方が多く、あまり納税意識がないかもしれません。

会社員の給与や賞与は所得でいうと給与所得に該当し、以下の速算表で計算します。

国税庁HP No.1410 給与所得控除より

給与所得のメリットは、給与所得控除の存在が何といっても大きいです。

給与所得は、事業所得で認められるような経費による費用計上は認められませんが、金銭支出なく無条件で金銭支出なく経費のように一定額を控除してくれるのは、最大の利点です。

ただ、計算上の控除は、給与所得控除のみで各収入区分にも控除上限が設けられており、年収850万円を超えると195万円が上限となり、それ以上所得控除を受けることができず、給与所得は柔軟性を持った節税には限界があります。

これが会社員は節税がほとんどできないと言われる所以です。

個人事業主

個人で事業をする場合(不動産を除く)の所得区分は、事業所得か雑所得となります。

雑所得も使いようによっては節税になるのですが、制約が多く、事業所得の方が圧倒的に使いやすいので、事業所得を前提にお話しします。

事業所得のメリットは以下が挙げられます。

事業経費を費用計上することができる
・開業時に開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出することで、青色申告特別控除を受けることができる
赤字の3年繰越他の所得との損益通算ができる

どれも給与所得では認められないメリットで、単体で見れば、給与所得より事業所得の方が圧倒的に有利といわれるのは、これらのメリットがあるからです。

会社員+個人事業主

会社員+個人事業主は、会社員の給与所得控除、個人事業主の3大メリットの両方のメリットを享受することができます。

具体的に例を用いてシュミレートしてみます。

なお、2020年から基礎控除の額と給与所得の速算表が改正されること、青色申告特別控除の額も状況によって変わるため、わかりやすくするため所得税計算は、2019年までの税率、基礎控除額(38万円)に基づいて計算しており、配偶者控除やその他の控除はないものとして計算しています。

国税庁HP No.2260 所得税の税率より

給与年収800万円のみの場合

・給与所得
8,000,000 - (8,000,000×10%+1,200,000) = 6,000,000
・総所得
6,000,000 - 380,000 = 5,620,000
・所得税計算
5,620,000 × 20% - 427,500 = 696,500

会社員としての収入のみの場合です。

給与のみなので、給与所得の速算表から給与の所得が計算され、赤字部分が給与所得控除の額となります。

その後、総所得計算で基礎控除額38万円が差し引かれます。これは、誰しもが一律的に引かれるもので、それを差し引いた後の所得に税率を乗じて所得税が計算されます。

給与年収600万円+事業収入200万円(事業経費50万円)

・給与所得
6,000,000 - (6,000,000 × 20% + 540,000) = 4,260,000
・事業所得
2,000,000 - 500,000 - 650,000 = 850,000
・総所得
(4,260,000 + 850,000) - 380,000 = 4,730,000
・所得税計算
4,730,000 × 20% - 427,500 = 518,500

給与と事業のW所得の場合です。

会社員をしながら事業をする中では、一番考えうるケースの所得バランスだと思います。事業所得は収入200万円から経費50万円を差し引き、そのあと青色申告特別控除額を差し引いた額となります。それぞれの所得の計算後合算して基礎控除額を控除して所得税率を乗じて計算されます。

トータル収入としては①と800万円で同じですが、収入の200万円が事業所得のため、経費の費用計上と青色申告特別控除額により事業所得部分が圧縮され、トータルの税額は、①に比べ25%以上節税となっています

給与年収400万円+事業収入400万円(事業経費150万円)

・給与所得
4,000,000 - (4,000,000 × 20% + 540,000) = 2,660,000
・事業所得
4,000,000 - 1,500,000 - 650,000 = 1,850,000
・総所得
(2,660,000 + 1,850,000) - 380,000 = 4,130,000
・所得税計算
4,130,000 × 20% - 427,500 = 398,500

給与と事業のW所得の場合で、どちらも400万円の収入の場合です。

給与所得が減れば、給与所得控除額も減りますが、②と比較して事業所得のウエイトが増しているため、その分の事業経費の算入が増え、給与所得控除以上の控除が可能となります。

事業所得はある程度経費を意図的に計上することが可能なため、事業規模が大きくなればそれだけ経費計上も増え、②以上の節税が可能で、①と比較すると42%以上の節税となっています。

ただ、当たり前ですが、経費については、お金の支出が伴います。節税目的で経費を多額に計上するためキャッシュアウトしまくって資金繰りが苦しくなっては本末転倒ですので、ご利用は計画的に。

デメリット

会計、税務処理

会社であればしてくれる事務処理も、個人事業については自分で全てしなければなりません。確定申告も自分でする必要があり、青色申告特別控除を受ける場合は、簿記のルールに従って帳簿を作成する必要がありますので、多少の知識と会計入力ソフトは必要となります。

会社との両立の体力面

個人事業に追われて、本業がおろそかになっては意味がありません。個人事業は、どこまでやるかの目標をしっかりたて、自分の中で本業とのすみ分けルールを作ることが必要です。

会社が副業NGな場合がある

そもそも個人で事業をしようにも会社がNGなら話になりません。副業OKの会社が増えてきたといっても、実際のところはまだまだです。

そうなれば、会社に内緒で副業をするしかありません。

「バレないか?」

というのが定番の心配ですが、会社にバレる要素として、会社に届く個人の住民税の金額が給与所得による金額より高い場合です。

会社では給料を把握しているため、その給料で計算した額の住民税が来るものと思っています。しかし、副業を確定申告すると所得が増えるので、住民税の金額もそれに応じて増えるので、会社で把握している金額とずれが出て副業がバレます。

しかし、それも確定申告書の第二表の住民税の徴収方法の選択欄で普通徴収という「自分で納付」にチェックを付けることで、給料分の住民税の納付書は勤めている会社に、個人事業分の住民税は自宅に納付書が届くため、会社に副業がバレることはありません。

もし、会社に副業分も含めた納付書がいったとしても、「投資で儲けが出すぎてしまった」と言えば逃れられると思います。さすがに副業禁止でも、株式投資などを禁止にするところは少ないでしょうし、さすがに確定申告を見せろとはいわれないでしょうから。

とはいえ、個人事業で何かしら足がつく可能性もなくはないので、あくまで自己責任で

さいごに

今回は、会社員+個人事業主のススメを説きました。

コロナの影響は良くも悪くも、働き方を変え、無駄を排除する流れに移行していることを考えると、雇用の縮小による終身雇用制度の崩壊へ向かっていくような気はしています。

そういう意味では、ジャパニーズカルチャーの悪しき雇用制度を変える良いチャンスと捉えていますが、これは同時に自分=個人で稼げるだけの力を身につける必要があるということです。

そう考えると会社員もいよいよ安定して守られる立場ではないということです。

保守的国家である日本では、今回のような緊急事態下においても迅速な経済政策は期待できず、自分の身は自分で守るしかありません。

私たちは今回のコロナから学んだことを、次への教訓の糧としなければなりません。

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