無申告はどのようにしてバレるのか?

前回「確定申告の無申告は本当に得するのか?」という内容を見てきましたが、今回はその「確定申告の無申告はどのようにバレるのか?」について見ていきます。

無申告者は全員バレる?

まず無申告の人全員を調査するのは、国税組織の人員的な問題で不可能です。

たとえば、令和元年分の所得税の申告書提出件数は2,204万件あります。国税組織の人員は約5万5,000人ほど在籍しているといわれ、税務調査をする職員はその中の一部です。

国税に関しては、「自分の所得は自分で申告納税してね」という申告納税方式である前提からも、税務調査は申告内容を間違えている人に対して行うことが多いです。申告していない人に対しての調査件数は限られ、悪質な脱税や申告漏れの金額が大きい案件を優先的に行うため、所得の少ない人が申告内容を間違えたとしても、実際に調査を受けるケースはあまり多くありません。

つまり、バレていないのは「確率の問題」です。

これだけ聞いていたら、バレなさそうな気もしますが、それは現段階で気付かれていないだけです。

無申告の足跡は様々なところに残りますし、税務署が本気を出せば無申告など余裕でバレます。なぜなら、税務署には莫大な情報と調査ノウハウ、そして税務調査で必要とあれば強力な権限が付与されているからです。

また、所得金額が少ない人に対しても調査は行われており、たとえ回収できる税金が少なくても回収見込額以上のコストをかけて税務調査を実施することもあり、所得が少ないからと言って油断できません。

以下、無申告がバレる要因をそれぞれ解説していきます。

バレる要因①:取引先への税務調査

無申告とは「申告すべき所得があるにもかかわらず、その所得を申告しないこと」をいいます。

申告すべき所得がある=お金をもらっている「収入」があるわけです。

そして、収入があるということは、当然、物やサービスを提供した先があるはずです。その提供先が個人事業主や法人の場合は、その個人事業主や法人の経費として無申告者がもらった収入額と同額の金額が計上されているはずです。

税務調査では、経費の支払先も調べられます。各取引については、その取引を証明するエビデンスを保存することが求められますが、売上以上に経費については、税務調査ではよく見られます。それは、経費の存在が課税所得を減らす性質のものであり、経費を否認できれば、その分所得が増えて税金をがっぽり取れるからです。そして、経費と認められるための要件として「取引書類の保存」と「会計帳簿へその経費の支払先の氏名・企業名等の情報の記載」が必要となります。

そのため、適正に処理を行っている取引先に税務調査が入った場合はその過程で、無申告者の名前があると、そこから無申告がバレる場合があります。取引先としては、わざわざ経費に入れられるものを入れない理由がありませんから、なにかしら無申告者からの働きかけがない限り証拠は残ることがほとんどです。

まー取引先も無申告者であれば、ここからはバレないかもしれませんが…

バレる要員②:個人情報の閲覧

税務署は税務調査に必要であれば、調査対象者に関係する個人情報を調べることができます

銀行や証券会社の口座はもちろん、電力会社に電気の使用量を確認することなども可能です。ただ、あくまで調査に必要な場合なので、やみくもにすべての個人情報が見られるわけではありません。

口座に関しては、現金で持てる資金には限界がありますし、今の時代口座の資金の動きを見ると大体その人の生活感や所得がわかってきます。特に大きなお金の入出金には目を光らせているものと考えた方が良いです。

水道光熱費については、利用している電気量から事業実態を見たり、住んでいない物件に対して住宅ローン控除を適用していないかを光熱費の使用開始のタイミングで計ったり、物件周辺で聞き込みをして居住実態を調べることもあるようで、もはや探偵レベルですね。

ちなみに、無申告とは異なりますが、特に相続税の税務調査の場合、まず確実に口座に関しては5年~10年分は見られます。これは、贈与などの多額の資金の移転の確認によるところが多いです。また、相続財産の申告漏れで一番多いのが、預金口座の申告漏れであり、税務署が口座照会を行ったら親族も知らない口座が出てきたというのはよくある話です

バレる要因③:高額な買い物

不動産や自動車などの大きな買い物をした場合も無申告がバレる要因の一つとなります。

特に、不動産や自動車にはなにかしらの税金が課税されているため、必ず国や自治体に購入情報が収集されます。

たとえば、住宅を購入した場合、税務署は購入者すべてに対して住宅の購入資金の出所を調べます。仮に無申告で税務署側が把握している所得が全くないような人が、1億円の住宅を買えば「その資金の出所は?」となりますよね。

そうなれば、税務署は個人の銀行口座照会をかけて、資金の動きから無申告がバレるようなこともあります。仮に、手元に大量の現金を隠し持っている場合などは、逆に預金口座から全く資金の動きがないということで、資金の出所が不明であることから自宅等を調査される可能性もあります。

バレる要因④:税務署へのタレコミ

税務署への第三者からのタレコミにより、税務調査が入ったという話を聞いたことがある人も少なくないでしょう。一般的にこのタレコミには、投書や電話、直接税務署に来署するケースなどがあるようで、週に数件程度はあるとか。

そして、タレコミの大体の理由が「妬み」「嫉み」だそうです。

そのため、タレコミによって税務調査を実施するか否かに関しては税務署も慎重に判断するようです。すべてのタレコミを鵜吞みにしていたら、税務署はただの「恨み晴らし屋」になりかねませんからね。

匿名の通報、無記名の投書や名前を名乗らない電話などの場合は、複数の証言などが得られ信憑性が高い場合、実名でなされた投書や、通報者が税務署に来所するような場合には、提出された資料や内部情報が具体的であれば調査に着手するそうです。

中でも信憑性が高いのは「愛人」からの情報のようです。

まー良くも悪くも色々知ってそうですからね愛人は…

とにかく、別れ方を間違えると痛い目を見そうなので愛人がいる悪い社長さんはお気をつけて

バレる要因⑤:国税庁の重点施策

国税庁では、毎年その年の世相を反映して、その年の重点施策を設けます。

例えば、以前は「FX」や「アフィリエイト」をしている人の課税状況を確認するために重点的に調査を行い、無申告の人を摘発するということがあり、昨年でいえば「転売ヤー」が重点的に調査されたというニュースもありました。

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なぜ、旬なところを調査するのか?

短期的にがっぽり所得があることが見込まれる

皆が皆そういうわけではないでしょうが、こういうのは早い段階で参入した人は短期的に莫大な所得をあげがちです。最初にも書きましたが、所得が少ない人よりは多い人の方が来られやすいこともありますし、申告の誤りがあれば取れる税金も高額になりますからね。

税制制度が認知されていない

新しい事業形態等で生まれた所得に関しては、過去に実績がないことから、税制上のルールがまだ構築段階であったり、理解されていない方が多いこともあります。そのため、申告誤りの可能性が高くなりがちです。

良い例が、2017年あたりの「仮想通貨」です。あれは、制度構築が全く追い付いていないのもありましたし、計算が非常にめんどくさく、考え方も難解で仮想通貨取引をしていない税理士ではイマイチ理解できないと思います。正直、税理士の方からすると避けたい案件だったと思います。

なお、個人的に今年は「仮想通貨関連取引」に関しては、重点施策に挙げられると思います。今年、来年あたりは仮想通貨系で所得が出ている人はしっかりとした申告をした方が良いと思います。

ちゃんと見てますよアピール

旬なネタで生まれた所得に関しては、無申告や申告誤りが多くなりがちなので、国税側も重点的に調査をして、世間で取り上げてもらうことで「しっかり見てますよ」アピールすることで、適正に申告することを促す節もあるようです。持続化給付金の不正受給者がニュースで逮捕されているような吊し上げがいい例ですね。

さいごに

ここまで、「無申告がどのようにしてバレるか」について見てきました。

様々な要素から無申告はバレますし、税務署にターゲットにされたら、おそらくほぼ100%無申告など指摘されます。もしかしたら、既にバレていて税務署に泳がされているだけかもしれません。

このようなことにならないようにも、しっかりと確定申告をしましょう。

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