医療費控除①【概要編】

今回は医療費控除について条文に沿って、意外に知られていないことについて書ければと思います。

まず、医療費控除の概要から簡単に説明していきます。

概要

1 医療費控除の概要

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記3参照)の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

(国税庁HP No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)より)

簡単に言うと

1年間に自分と自分の親族のために支払った医療費の合計が一定金額を超えたときに、「所得控除」を受けることができる

という感じです

まぁここは見たまんまです。

医療費の要件

2 医療費控除の対象となる医療費の要件

(1) 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。

(2) その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)。

(国税庁HP No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)より)

(2)はそのままなので割愛しますが、(1)については解説をしたいと思います。

(1)は、 自分のために支払った医療費はもちろん、親族のために支払ったものも医療費控除の対象となる医療費として含めてよいですよという感じですが、ここで注意してほしいポイントが2つあります。

まず1つ目のポイントは、「生計を一にする」の解釈です。

この「生計を一にする」というのが中々のくせ者で、国税通則法基本通達という条文の中では、

“互いに助け合って日常生活の資を共通していることを言う。同居していない場合でも、常に生活費等を扶助しているときはこれに該当する。同居していても、互いに独立して日常生活の資を共通していない場合は該当しない。”

とあります。

つまり、ここでいう「生計を一にする」の判断は、「日常で使うお金を共有している状態」によって判断します。そこの第一段階の判断として使われるのが、同居してるか否かとなります。「生活を共にしているか否か」は、「日常で使うお金を共有しているか」とほぼほぼイコールになりますからね。

そのため基本的には、同居=「生計を一にしている」として扱われますが、

・互いの生活費を別負担している
・住民票や国民健康保険上も生計が別となっている
・世帯ごとに不動産登記を持分で分けている場合

などに該当すれば、同居していてもお互いが独立して生計を立てているとみなされ「生計別」で扱われることがあります。

一方、同居していない場合は基本的には「生計別」として扱われますが、

・仕事、学校、病気療養等の都合で離れて暮らす
・休みの際には一緒に過ごす
・生活費や学費、療養費の仕送りがされており、仕送りを受ける側に十分な収入が無い

などに該当すれば、同居していない状態でも「生計を一にしている」と扱われることがあります。

ただ、基本的には実態状況に置いて判断されるのものですので、あくまで上の例は一つの判断材料とお考え下さい。基本的な判断については、同居か否かで良いとは思いますが、明確な判断基準はないので、くれぐれもリスクある判断をしないようにしましょう。

次に2つ目のポイントは、医療費控除を受ける納税者が支払っていることです。

当たり前ですが、国も支払っていない医療費に対して控除するわけないですからね。少額の現金のやり取りであれば、わからないかもしれませんが、高額な医療費になると預金の流れから納税者が親族の分を負担してるかくらいは簡単にわかると思うので、納税者が負担したものだけ医療費控除の医療費にいれましょう。

控除対象金額

3 医療費控除の対象となる金額

医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。

(実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額

(1) 保険金などで補てんされる金額

(例)生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など

(注) 保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

(2) 10万円

(注) その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額

(国税庁HP No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)より)

医療費控除の対象となる金額は、医療費から「保険金などで補てんされた金額」と「10万円」を差し引いた金額となり、最大上限は200万円です。

よく「医療費控除は10万円超えないと使えないよ」と言われるのは、この10万円を指し引いた金額分が所得控除の金額となるからです。

ただ、その10万円超えないと使えないというのは半分正解で半分間違いです。

(2)の(注)書きにあるように、総所得(全ての所得を足した年収でイメージしてください)が200万円未満の方の場合については、差し引かれるのは10万円ではなく、総所得の5%になります。

例えば、総所得金額が100万円であった場合は、(2)の金額は10万円ではなく100万円×5%した5万円となるので5万円を超える医療費は医療費控除の計算に組み込むことができるのです。200万円に5%掛けると10万円となるので、200万円以上は一律10万円とされているわけです。

年収が200万円に満たない場合は、医療費が10万円以下でも医療費控除が使える可能性がありますので、しっかり領収書は取っておきましょう。

さいごに

記事が長くなってきたので、続きは次回に回したいと思います。

今回のトピックで覚えて欲しい論点は

・親族の生計一の判断は、「日常で使うお金を共有している状態」によって判断
・医療費は医療費控除を受けようとする人が支払ったものに限る
・医療費が10万円以下でも総所得によっては医療費控除が受けられる

という3点です。

次は、医療費控除の対象となる医療費とセルフメディケーション税制についても少し触れればと思います。

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