【経営分析②】「安全性分析」「返済能力分析」「その他分析」

今回は、前回のに引き続き「経営分析」第2弾で「安全性分析」「返済能力分析」「その他分析」について紹介します。

なお、指標分析は、企業規模が同じでも業界によって数値の良し悪しは、異なる場合が多いので、比較する際は、同業界での比較の優先順位が高くなります。

安全性分析

安全性分析は、負債と資本の財務構成が安定しているかどうかを分析することにより、資金的な安定性、余裕度を測定する指標分析です。

企業が倒産する危険度を示す指標とも言え、特に取引先や銀行などにとって重要な意味を持つ分析といえます。

安全性分析の指標は、安全性の観点からは高い方が望ましいが、見方を変えると、高すぎる安全性の指標は逆に経営の非効率性を表しているともいえます。

以下、代表的な指標分析を紹介していきます。

流動比率

算式:流動資産÷流動負債

企業の短期的な支払い能力を示した指標であり、比率が高いほど支払能力があるとされ、一般的に200%以上が理想とされます。

ただ、流動比率が高くても、不良債権や不良在庫をたくさん抱えている場合は、必ずしも支払能力が高いとはいえないので財務状況を見て総合的に判断する必要があります。

固定比率

算式:固定資産÷純資産

土地、建物、機械設備などの長期間にわたって使用する固定資産を自己資本で割ることにとより、その時点における会社の長期的な支払能力を分析することができます。

固定資産は、返済期限のない自己資本で調達するのが資金繰り的には安全と言え、固定比率が100パーセントを下回っていれば、固定資産がすべて自己資本で賄われていることになり、理想的とされる。

自己資本比率

算式:株主資本÷総資本

経営分析や株式投資の現場で幅広く活用されている指標で、総資本に対する自己資本の割合をいい、比率が大きいほどその企業が財務的に安定していることを表わし、一般的に40%を超えると安定企業と言われている。

負債比率

算式:負債÷純資産

自己資本に対して負債がどの程度あるかを示す比率で、負債比率は100%以下であることが望ましい

返済能力分析

返済能力は、借入(ローン)を返済していくうえで、借主の金銭負担の継続可能性をいいます。

これは、個人や法人などに融資をする金融機関や消費者金融会社が、ローンの申し込みの際に「融資するお金が確実に戻ってくるか」を判断するときに使われる指標です

以下、代表的な指標分析を紹介していきます。

債務償還年数

算式:(借入金ー運転資金)÷(減価償却+経常利益ー法人税等)

借入金等の債務をどれだけの年数で償却できるかの指標で、一般的に8年~10年未満となるのが、望ましい年数であり、銀行の融資を受けるうえでも好ましいとされます。

インタレスト・カバレッジ・レシオ

算式:(営業利益+受取利息+受取配当金)÷(支払利息+支払配当金)

企業がどの程度余裕をもって営業利益で借入金の利息をまかなえているかを示す指標で、支払利息や社債利息などの金融費用に対する事業利益の比率をいい、最低でも1倍超、2〜3倍だと標準的、10倍以上が理想的と言われています。

その他分析

従業員一人当たり人件費

算式:総人件費÷従業員数 = 労働生産性×労働分配率

名の通り、社員一人当たりの人件費をいいます。経営資源としての「人」の単位当たり調達コストを知るうえで便利な指標である。

労働生産性

算式:付加価値額÷従業員数

従業員1人当たり、または1時間当たりに生み出す成果(付加価値)を表した指標です。そもそも「生産性」とは、投入した資源と産出された成果の比率を意味し、「投入資源に対して産出が大きいほど生産性が高い」ということになります。

労働生産性を別の算式で言い換えると、「労働の成果(産出)」を「労働量(投入資源)」で割ったものとなります。

労働装備率

算式:有形固定資産残高÷従業員数

従業員にどれだけの機械装置や備品を持たせているかを示す指標で、労働装備率が高いほど、生産ラインの機械化などの設備投資が進んでいるとみなすことができるため、効率的に稼ぐことができる会社であるといえます。

付加価値比率

算式:付加価値額÷売上高

企業が生みだした価値や利益を計る指標で、いかに資源を無駄にせず、消費者のニーズに合った高価値を生み出したかを図ります。

付加価値が高いということはそれだけ企業が価値を上乗せすることができたということになり、つまり利益を上乗せできたということになります。

有形固定資産投資効率

算式:付加価値額÷有形固定資産残高

企業が保有している工場などの有形固定資産をどれだけ売上実現に結び付けているかを把握する指標で、一般には設備操業度を示します。

この指標が高ければ高いほど、効率よく有形固定資産を用いて売上を生み出していることになります。

労働分配率

算式:総人件費÷付加価値額

企業が獲得した収益と労働対価の支払いバランスを示す経営指標で、数値が小さい方が生産性が高いとされています。 労働分配率は、会社の分配可能な付加価値が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示すため、社員への収益還元度や人件費の適正具合の測定等に活用できる。

<労働分配率による経営体質の評価>

・30%以下→ 優

・30~35%未満 → 良

・35~40%未満→普通

・40~45%未満→やや不良

・45~50%未満 → 不良

・50%以上→ 劣

EBITDAマージン

算式:EBITDA÷売上高
   EBITDA=営業利益+減価償却費

税引前減価償却前営業利益またはキャッシュ利益と呼ばれ、資金支出の伴わない経費である減価償却費を営業利益から足し戻すことにより、本業が生み出したキャッシュフローが分かります。

キャッシュフローとはお金の流れを言い、EBITDAはキャッシュフロー計算書の簡易版といったところです。

近年世界的にこの指標が活用されており、「グローバルな比較可能指標」とされています。

それは、 各国の税率をはじめ、政策金利が異なれば支払利息も異なり、減価償却費の規定は国ごとにより取り扱いが異なるため、それらを除いたEBITDAを指標とすることで国際企業同士の比較が可能となるからです。

なお、EBITDAはあくまで簡易営業CFであり、フリーキャッシュフロー(営業CF+投資CF)とは異なります。

まとめ

ここまで「安全性分析」「返済能力分析」「その他分析」について紹介しました。

とりあえずよくわからなくても、算式を見て財務諸表から数字を引っ張って計算してみましょう。

そして、当社の過去、同業界他社、同規模他社やベンチマーク企業など様々な企業と比較することにより、自社の経営の財務状況の良し悪しが掴めてきます。

指標分析は難しそうな言葉ばかりが並んでいますが、こんなもん覚える必要はなく一つの経営判断の資料ベースで利用しましょう。

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