iDeCoは「出口戦略」がなにより重要【具体例編】

前回、概要編でiDeCoなどの確定拠出年金について

・マイナスリスクの可能性

・利益が出ても老後に税金の支払いが待っている

この2点については絶対に抑えておくべきと話しました。

今回は、この2つ目の老後の税金の支払いについて、具体例を交えてどのように受け取るのが最適なのか説明していきます。

前提

まず前提ですが、65歳から確定拠出年金と公的年金を受け取る場合の所得税のシミュレーションをしていきます。

基本的に、確定拠出年金の受け取り方は、分割型、一括型、併用型(分割&一括)の3種類ありますが、選択肢としては、一括型併用型が一番有利な受け取り方と考えられます。その理由は、一括型は退職所得として扱われるため、控除額の大きい退職所得控除額が使えるが挙げられます。

そのため確定拠出年金の受取額が

・退職所得内で税金が0ないし少額であれば、一括型

・退職所得控除を使ってもそれなりに年金額が残る場合は、併用型

を利用するのが理論上は一番良いとされます。

今回は、退職所得を計算するうえでの各税率区分にあてはめた場合の6パターンで説明していきます。以下は各シミュレーションの前提です。

・確定拠出年金は、個人型のiDeCoに35歳で加入し、30年間掛金を拠出し、65歳から確定拠出年金を受け取るものとする

・受取開始時の確定拠出年金の資産額は5,000万円で、受け取り開始と同時に運用を停止し年金額を確定したものとして計算(運用額の変動はなし)

・確定拠出年金の分割支給の場合の受け取り期間は、5・10・15・20年のパターンで計算

公的年金は、国民年金と厚生年金に加入していたものとし、おおむね平均額とされる年間200万円受け取るものとして計算し、確定拠出年金と公的年金以外の所得はないものとする

・確定申告の所得控除額は一般的に適用が多いと考えられるものを適用し、医療費控除10万円、配偶者控除38万円、基礎控除48万円(翌年以降)があるものとする。

なお、配偶者が70歳以上になった場合、配偶者控除額が48万円になる老人控除対象配偶者については今回は加味しない

シミュレーション

確定拠出年金を全額一括で受け取った場合

これは、65歳で5,000万円を一括で受け取るパターンです。一括受取の場合については、全額退職所得として扱われます。

まず、この退職所得については、以下のように計算されます。

(収入金額 - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

退職所得控除額の計算

iDeCoの場合、この計算における退職所得控除計算の勤続年数は、掛金の拠出年数と置き換えることができます。本例における掛金拠出年数は30年なので、20年超の区分で計算した退職所得控除額は1,500万円となります。

退職所得税額計算表

5,000万円の収入額から、退職所得控除額1,500万円を差し引いた額から更に1/2をした金額を退職所得の金額とし、上記税率の(E)の区分により計算されます。

ここだけで退職所得は、3,250万も控除を受けて計算されています。なぜ退職所得がここまで優遇されるかというと、退職金は長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであることなどから、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるよう配慮されています。

なお、一括で確定拠出年金を受け取った場合は、確定拠出年金による分割払いとしての年金の支払いはありませんので、毎年の所得は公的年金のみの受け取りとなり、本例においては、公的年金だけの受け取りであれば、毎年の課税所得はなく納税はありません。そのため、すべてを合算した納税額は、退職所得として課税された4,239,000円となります。

確定拠出年金を一括+分割の併用で受け取った場合

5,000万円の収入額のうち一部金額を一括で受け取り、残りを年金として分割で受け取るパターンです。

それぞれ上から順番に、

・一括で退職所得が0になるラインで受け取り、残りを分割パターン

・一括で退職所得が税額計算表の(A)区分ギリギリで受け取り、残りを分割パターン

・一括で退職所得が税額計算表の(B)区分ギリギリで受け取り、残りを分割パターン

・一括で退職所得が税額計算表の(C)区分ギリギリで受け取り、残りを分割パターン

・一括で退職所得が税額計算表の(D)区分ギリギリで受け取り、残りを分割パターン

でシミュレーションしています。

結論から言うと、今回のシミュレーションで一番有利となるのは、一括で退職所得が税額計算表の(A)区分ギリギリで受け取り、残りを分割パターン分割年数15年で受け取る場合が、一番節税効果が高くなりました。これは、人によって最適な受け取り方は変わってきます。

私の父の場合、一括で退職所得が税額計算表の(B)区分ギリギリで受け取り、残りを分割パターン分割年数10年で受け取る場合が、一番節税効果が高かったです。

退職所得の計算は、一括で受け取った場合と特に変わらないので割愛しますが、残額を年金で受け取った場合の税金の計算について「一括で退職所得が0になるラインで受け取り、残りを分割パターン」で解説したいと思います。

まず5,000万のうち一括で1,500万を受け取ったため、残額の3,500万円を年金で受け取ります。確定拠出年金は、それぞれ5・10・15・20年で按分した金額が入っており、公的年金は毎年定額の200万円です。これらを足した金額が各年における1年の年金計となり、年金の所得は雑所得に該当されます。

雑所得は所得計算の中で一番不利な所得ですが、年金に関しては別途特別控除が認められており、公的年金に係る雑所得以外の所得にかかる合計所得金額が1,000万円以下の場合は下の速算表で計算されます。

なお、本例は年金の受け取りが65歳からなので、65歳以上の区分で計算されます。65歳以上の方が控除幅が大きいので、老後資金に多少余裕があるなら65歳以上で受け取る方が節税効果は高くなります。

上記特別控除を差し引き、各種所得控除を差し引くことで最終課税所得が計算され、これに下記の区分に該当する税率を乗じて控除額を控除することで所得税(単年納税額)が計算されます。

確定拠出年金を受け取った後の所得は公的年金のみとなるため、最初の「一括で受け取ったシミュレーション」から公的年金のみでは毎年納税は発生しないこととなるため、通算納税額は、単年納税額×年金受取年数で計算しています。

最後の合算納税額は、一括納税額+分割納税額の合計額となります。

比較すると、一番納税額が高額になるのが、一括で退職所得として受け取る場合が20年合算で4,239,000円

一番納税額が抑えられるのは、一括で退職所得が税額計算表の(A)区分ギリギリで受け取り、残りを分割パターン分割年数15年で受け取る場合で1,463,750円

差額2,775,250円

これだけあれば中々の豪遊できますね。なので、ちゃんと確定拠出年金のもらい方は、計画的に試算して選択する必要があるわけです!!

一般的に、年金としてもらう期間が長ければ長いほど、単年の所得は減るため、その年の納税額は減ります。しかし、単年の所得は減って納税額が減ったとしても、年金額が大きいと支払う年数が長くなる分かえってトータルの納税額は大きくなってしまいます。また、納税面以外も考慮にいれるのであれば、早めに確定拠出年金について受け取ってしまうほうが良いです。その理由は、

・確定拠出年金の口座管理手数料や振込手数料がかかる

毎年税金を支払うストレス

・確定拠出年金加入者が亡くなるとみなし相続財産ないし相続財産として相続人に相続税課税されるか、受取人に所得税課税される可能性がある

これらは、確定拠出年金の受け取りが長期間になればなるほど負担は増えます。手数料部分は微々たるものですが、手取りが減りますし、毎年税金を払うリスクを抱えるのはメンタル的にしんどくなります。

そして最後の部分は、確定拠出年金の加入者が亡くなった場合はその一時金の受け取り時期により税金の扱いが変わってきます。

・死亡されてから3年以内に一時金を受け取る場合は、「死亡一時金」として相続人の「みなし相続財産」とされ、一定の非課税特例控除を受けることができる

・死亡されてから3年超5年以内に一時金を受け取る場合は、受取人は一時所得として所得税課税されます

・一時金の請求期限は5年で5年を超えると、普通の相続財産として扱われます

相続の話になるともはやややこしいので、ここら辺にしておきますが、資産をたくさんお持ちの方や、確定拠出年金の金額が大きい方が亡くなられると相続税課税の可能性は高くなるので注意が必要です。

また受け取りの手続きもかなり手間がかかりますので、リスクヘッジのためにも生前早めに受け取ってしまう方が色んな意味で安心ではあります。

さいごに

ここまで具体例をシュミレートしてきました。

今回の計算は、あくまで一番負担の大きい所得税だけの金額だけの話をしていますが、ここには、復興特別所得税や住民税もかかってきます。

計算資料についても翌年以降の資料と本年ベースの資料が混合していることもあり、あくまで目安程度でお考え下さい。また状況も個人により様々なため、個別事情をしっかり踏まえて計算しないと、意味がありませんのでご注意ください。

確定拠出年金を始めるにはまずは証券会社の口座開設が必要になります。

まずは今回と前回の記事を参考にして利用をしっかり考えてみてください。

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