【特定支出控除】”確定申告”で会社員の税金を減らす秘技?

今回は、前回に引き続き「確定申告」で会社員の税金を減らす技としてあまりメジャーではない秘技「特定支出控除」の紹介をしていきます。

特定支出控除

・おすすめ度:B
・使いやすさ:C
・難易度:C

特定支出控除とは、簡単に言えば「会社員の経費計上を認める制度」です。

会社員でも仕事着の購入、業務上必要な資格取得等、自腹で仕事関連の費用を支払うケースがあると思います。本来なら業務上必要なものに支払った費用は必要経費になるべきであり、給与所得者と自営業者などの事業所得者との税負担の公平性を考える必要があるという背景からこの制度は創設されました。

更には、与所得控除」とも併用が可能です。

それなら「使わな損やないか!!」

と思われるかもしれませんが、そう簡単にはいかないわけですよ。

以下制度適用にあたり、超えるべきハードルについて解説していきます。

支出内容の制約

自営業者であれば、事業目的経費であると証明さえできれば、ある程度広い範囲の経費算入が可能となりますが、特定支出控除では、支出内容は以下の内容のうち自己負担したもの限られます。

特定支出の内容

通勤費一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
転居費転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出
研修費職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
資格取得費職務に直接必要な資格を取得するための支出
弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となります。
帰宅旅費単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出
勤務必要

経費

次に掲げる支出(支出額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限る)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明されたもの
図書費書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用
衣服費制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用
交際費交際費、接待費その他費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出

会社負担分は会社側の経費になるので、一旦自分で立て替えたが、最終的に会社から支払われるものは特定支出控除の対象外となります。

しつこいですが、あくまで特定支出控除の対象となる支出は上記内容のうち自己負担部分のみです。

金額ハードルがそこそこ高い

特定支出控除として控除される額は以下の算式で計算されます。(国税庁HP資料参照)

特定支出控除を使うためには、給与所得控除額の1/2の金額超の特定支出が必要となります。

つまり、1/2以下の支出の場合当控除の適用はできません。

 

給与所得控除額は、会社員にのみ認められた絶対奥義で、以下表のように年間の給与収入額に応じて増減します。(国税庁HP資料参照)

給与所得控除を踏まえ以下表は、年収ベースでいかほどの特定支出があれば当制度を適用できるかの基準額と対象額を記載しています。

年収

300万円

500万円

700万円

1,000万円

給与所得控除

98万円

144万円

180万円

195万円

特定支出控除基準額

49万円

72万円

90万円

97.5万円

特定支出控除対象額

50万円

1万円

100万円

51万円

28万円

10万円

2.5万円

150万円

101万円

78万円

60万円

52.5万円

年収300万円の会社員の方であれば、給与所得控除額98万円の1/2の49万円が基準額となります。

たとえば、その年に50万円特定支出した場合であれば、49万円を超えた1万円が特定支出控除として所得から控除することが出来ます。

ただ、これはあくまで1万円税金が少なくなるわけではありません。

所得から給与所得控除や特定支出控除など様々な控除を引いて、最後に税率を掛けて税金は計算されるので、年収300万円で1万円の所得控除は、節税効果でいうとせいぜい1,000円程度なのでかなり渋いような気はしますね。

そもそも、今時会社員で年間自己負担額50万円超えること自体まずないかと…

会社に認めてもらう必要がある

ここまでで既に心が折れそうな印象ですが、特定支出控除を利用するためには、その特定支出の内容を会社に「業務上必要な支出」と認めて貰わなければなりません。

つまり「自己申告ではダメですよ」ということです。

特定支出控除適用については、給与支払者である会社側に特定支出が業務上必要経費であった証明として下記リンク先の「特定支出に関する証明書」が確定申告の添付資料として申告時に必要となります。

こんなもん出されたら、会社側は「会社が負担してくれない自己負担の業務上経費をせめて節税に使おうと思っているので特定支出として認めて下さい」と嫌味言われているような感じするので、雇われている立場の会社員から言いにくいような気はしますね。

しかも、数年前何かの記事で特定支出控除を利用している会社員は、10万人に3人しかいないというニュースを見ました。おそらく現在もほとんど変わっていないように感じます。

そう考えるともし、あなたが特定支出控除を適用したいと思っても基本的に、その会社では前例がないものと思ったほうが良いですし、そもそも「特定支出控除」の存在すら知らない可能性もあります。

そのような状況で、いちいち説明して、書類を作成して、会社も手間をかけて特定支出に関する証明書」をチェックしてくれるのか?

と言われると中々難しいような気もします。

珍しいから確定申告もチェック入りやすそう

個人的な意見ですが、10万人に3人しか使っていないレアな控除制度を使う確定申告であれば、やはり普通の確定申告より税務署からチェックは入りやすいような気はします。

これは、当制度の適用がダメとか、怪しまれるとかではなく、単純に見る側としては、ちゃんと申告出来ているか見てみたいという探求が湧きますね

なので、中途半端な知識や資料のまま確定申告してしまうとかえって色んな見られたくない部分も見られるかもしれません

さいごに

以上ここまで「特定支出控除」について解説してきました。

かなり使いにくさアピールになってしまいましたが、やはり現状ではまだまだ使いにくい制度というのが本音です。労力のわりに節税効果もそこまで高くないですし、会社からも面倒がられそうですし…

もし、利用できるとすれば、自己負担が多くなりそうな

・超絶ブラック企業勤め(超絶ブラック企業が証明してくれるとは思わないですが…)
・専門職などで研修や資格取得に高額な費用がかかる場合
・ファッション関連業界で高額な衣服代負担がある場合

くらいな気はします。

過去に何度か制度改正されて、これでもまだ使いやすくなってはいるので、今後更なる制度改正がされれば、使いやすくなるかもしれない制度なので、会社員の方は頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。

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