【年末調整】誰でもわかる「扶養控除等申告書」の書き方

今回は、年末調整「書き方編」です

従業員の方は、11月くらいから随時渡される年末調整書類について必要事項を記載して、11月末くらいまでに会社に提出するだけです。

会社によって年末調整のタイミングはもちろん、記載方法、必要資料も変わってきますので、ここでの解説はあくまで「一般的」といわれるパターンとお考え下さい。

ここからは、2020年の年末調整書類の必要事項の書き方についてそれぞれ上から順に解説します。

まずは、「扶養控除等申告書」です。

納税者基本情報(必須)

納税者が学生や障害者、寡婦、ひとり親等に該当せず、奥さんや扶養親族がいない場合は、申告書の一番上の基本情報のみの記載でOKです。

欄外にも下線で書いてあります。

なお

・税務署長

・市区町村長

・給与の支払者の名称・法人番号・所在地等

については、一般的には会社で記載してくれるため、記載することはないと思いますので割愛します。

氏名・生年月日・住所・配偶者の有無

それぞれ納税者の個人情報を記載しましょう。

名前の横には印鑑を押します。印鑑は認印でかまいません。

会社によっては会社保存書類ということで、シャチハタを認めているところもあるみたいですが、正式な書類ですし、調査等で書類を確認される可能性もあるため、シャチハタではない印鑑を利用しましょう。

個人番号

マイナンバーのことです。

会社によって記載の有無は変わると思うので、会社の指示に従って記載しましょう。

世帯主の氏名

意外にここは間違いやすいので注意が必要です。

世帯主とは、「その世帯を主宰する者」のことをいい、必ずしも「その世帯で最も年長者」や「最も収入を世帯にもたらす者」ではなく住民票に記載されている「世帯主」のことを指します。

そのため、仮に現在一人暮らしをしていて自分で生計を立てていたとしても、住民票で「世帯主」を変更していなければ、年末調整で書くべき世帯主は、自分(本人)でない場合もありえますので、しっかり確認しておきましょう。

続柄

ここは世帯主との関係性を記載します。世帯主が配偶者なら「妻」や「夫」、親なら「父」や「母」と記載します。世帯主が自分の場合は、続柄に「本人」と書きます。

ちなみに自分も最近知ったのですが、続柄は「ぞくがら」ではなく「つづきがら」と読むのが正しい読み方らしいです。

従たる給与についての扶養控除等申告書

該当する方だけ「〇」をします。

主たる給与とは、この申告書の給与支払者から受ける給与をいい、従たる給与とは、それ以外の給与事業者から受ける給与のことをいうため、2か所以上から給与をもらっている場合かつ従たる給与に該当する会社で年末調整をして、扶養控除等申告書を提出をする場合に「〇」を記載します。

基本的には2か所以上から給与をもらっている方も少数でしょうし、主たる給与について扶養控除等申告書を提出する方が大部分なので、ほとんどの方は、無視でよいと思われます。

各種控除申告

以下の項目の記載については、納税者個人が該当する部分についてそれぞれ記載していきます。

源泉控除対象配偶者

源泉控除対象配偶者とは、合計所得金額が900万円(給与収入1,120万円)以下の給与所得者の配偶者で、申告する年の12月31日において、以下のすべての要件を満たす配偶者をいいます。

・民法の規定による配偶者(内縁関係は除かれる)
・生計を一にする配偶者
・合計所得金額が95万円(給与収入150万円)以下
・青色申告書の事業専従者として給与を受け取っていない
・白色申告書の事業専従者ではない

上記要件を満たす配偶者については、年末調整で「配偶者控除」又は「配偶者特別控除」のいずれかの控除を適用することができます。

いくら控除されるかについては、今年から新たに基礎控除申告書に追加された配偶者控除等申告書で計算されるので、そちらで説明します。

「配偶者控除」又は「配偶者特別控除」を適用する場合は、「A源泉控除対象配偶者」にそれぞれ配偶者情報を記載する必要があります。

氏名・個人番号・続柄・生年月日・住所については、基本情報と同じなので割愛します。

所得の見積額

対象となる配偶者のおよその年間所得の見込額です。

年収ではなく、所得を記載する必要があるので注意しましょう。

異動月日及び事由

各対象区分において、なんらかの異動があった場合に記載する項目です。

あくまで記載時点の情報で異動状況について記載しますが、提出後年末までになんらかの異動があった場合には、所得税計算に影響が出ることも考えられますので、会社の年末調整担当者に早めに報告しましょう。

控除対象扶養親族

控除対象扶養親族とは、その年12月31日において以下の対象者に該当し、各要件を満たしたものをいいます。

〇 対象者
・納税者本人と生計を一にする配偶者以外の親族(6親等以内の血族及び3親等以内の姻族)
・年齢が16歳以上
・都道府県知事から養育を委託された児童(里子)
・市町村から看護を委任された老人

〇 要件
・その対象者となる親族の合計所得の見積金額が38万円(年収103万円)以下
・青色申告書の事業専従者として給与を受け取っていない
・白色申告書の事業専従者ではない

上記要件を満たす扶養親族については、年末調整で「扶養控除」を適用することができ、対象扶養親族1人あたり「38万円」の所得控除を受けることができます。

また、対象者の年齢がその年12月31日において70歳以上(昭和25年1月1日以前生まれ)に該当する場合は、「老人扶養親族」に該当し、控除額が10万円上乗せされ1人あたり「48万円」の所得控除を受けることができます。

「扶養控除」を適用する場合は、「B控除対象扶養親族」の項目にそれぞれ扶養親族の情報を記載する必要があります。

記載内容は、基本的に源泉控除対象配偶者と同じ内容ですが、対象扶養親族のうち一定の条件を満たす場合は、控除額が上乗せされるため、区分選択をする部分がありますので、軽く解説をしていきます。

特定扶養親族

扶養親族のうち、その年12月31日において19歳以上23歳未満の親族(平成9年1月2日~平成13年1月1日生まれ)に該当する場合は、「特定扶養親族」の欄にチェックします。

対象者1人あたり「63万円」の所得控除を受けることができます。

同居老親等

老人扶養親族のうち、納税者本人又はその配偶者の直系尊属(父母・祖父母など)であり、そのいずれかと同居をしている場合は、「同居老親等」の欄にチェックします。

対象者1人あたり「58万円」の所得控除を受けることができます。

なお、同居をしていない場合には「その他」の欄にチェックします。

ここでいう同居」は、本来的な状況で判断するため、例えば病院で入院していて一時的に別居状態となったとしても、もし健康であれば「同居」していたと考えることが出来るため、実質的に「同居」として判断されます。

なお、老人ホーム等に入所している場合は、同居には該当しません。

障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生

本人・配偶者・扶養親族が、下記区分にそれぞれ該当する場合にチェックしていきます。

障害者

その年12月31日において、納税者又は同一生計の配偶者、扶養親族それぞれの者の障害状況により「障害者控除」を適用することができます。

それぞれ

・一般障害者
・特別障害者(障害等級1級2級)
・同居特別障害者(同居している特別障害者)

区分されます。

所得控除額は、それぞれ上から

・27万円
・40万円
・75万円

となります。

なお「障害者控除」の適用を受ける場合には、各区分のチェック以外にも、障害者の内容について記載する必要があり、障害の状態や障害者手帳の種類や交付年月日、等級などの記載等が求められますので、ここについては手引き等を参考いただければと思います。

寡婦(かふ)

その年12月31日において、それぞれの場合で以下の要件を満たす場合「寡婦控除」を適用することができます。

〇 離婚した場合
・離婚後再婚していない
・事実婚状態にない
・合計所得金額500万円以下
扶養親族がいる(総所得金額が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人)

〇 死別・生死不明の場合
・死別後再婚していない
・事実婚状態にない
・合計所得金額500万円以下

離婚した場合と、死別・生死不明の場合の違いは、扶養親族の有無になります。

離婚の場合はある意味お互いの同意のうえで行われますが、死別・生死不明の場合は偶発的・突発的であることも多いため、後者の方が生活に与える影響が大きいと考えられるため、要件は軽くなっています。

上記要件を満たす場合、年末調整で「寡婦控除」を適用することができ、「27万円」の所得控除を受けることができます。

ひとり親

その年12月31日において、納税者本人が「ひとり親」に該当する場合、「ひとり親控除」を適用することができます。

2020年度の年末調整から新たに新設された項目です。

以前までの寡婦控除は、複数の寡婦が存在していてわかりにくかったですが、新たにわかりやすく寡婦とは区分してできたのがこの「ひとり親」という区分です。

国税庁のHPに寡婦の改正については、わかりやすいフロー図があがっているのでのっけときます。

ざっくりいうと、「ひとり親」は、シングルマザーやシングルファザーで、合計所得金額が500万円以下で事実婚状態にない人をいいます。

「寡婦」と異なるところは、

・婚姻歴の有無

・性別

が関係ないことです。

つまり、未婚でも男性の方も利用することが出来るのが「ひとり親控除」というわけです。

上記要件を満たす場合、年末調整で「ひとり親控除」を適用することができ、「35万円」の所得控除を受けることができます。

なお、寡婦控除との併用適用は出来ませんので、「寡婦」と「ひとり親」の両者に該当する場合は、「ひとり親控除」の方が有利となります。

勤労学生

その年12月31日において、納税者本人が「勤労学生」に該当する場合、「勤労学生控除」を適用することができます。

「勤労学生」とは以下の要件を満たす者をいいます。

・高校・大学などの学生、一定要件を満たした専修学校、認定職業訓練などの生徒
・給与所得等の勤労による所得がある
・合計所得が65万円以下で勤労以外の所得が10万円以下(給与所得のみの場合は、給与収入金額130万円以下)

上記要件を満たす場合、年末調整で「勤労学生控除」を適用することができ、「27万円」の所得控除を受けることができます。

なお「障害者控除」と同様に、各区分のチェック以外にも、勤労学生の内容について記載する必要があり、学校名と入学年月日及びその年の所得種類と見込額を記載する必要があります。

また、専修学校や認定職業訓練などの生徒の場合、学生証明の提出が必要となりますので、それぞれの学校で証明書を発行してもらう必要があります。

他の所得者が控除を受ける扶養親族等

申告書を提出する人以外の人が、家族を扶養親族として申告する場合に記載します。

例えば、夫婦共働きで配偶者が家族の誰かを扶養している場合などが該当します。

住民税に関する事項

この申告書は、住民税の計算に利用するために記載します。

住民税の計算上は、16歳未満の扶養親族についても計算上考慮されるので、その年12月31日において16歳未満(平成16年1月2日以後生まれ)の扶養親族がいれば該当します。

なお、日本国内に住んでいない扶養親族がいる場合、「控除対象外国外扶養親族」欄に記入します。

さいごに

ここまで2020年版扶養控除等申告書の書き方について解説してきました。

一項目ずつ見ていくとそれなりに論点があるので、記載項目が多い方は中々大変かと思いますが、その分所得税の節税に繋がりますのでしっかり内容を確認して記載していただければと思います。

 

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