仮想通貨の確定申告②【売買取引編】

今回は具体的に仮想通貨の取引から所得が生じ得る可能性のものを取り上げて解説していきます。仮想通貨取引の中で所得が発生すると考えられるのものは、以下のものがあるかと思います。

・売却益
・アフィリエイト
・ハードフォーク
・エアドロップ
・マイニング
・レンディング
・PoS・ステーキングサービス

こんなものでしょうか?

仮想通貨とかやってねーよって方も最初の2つに関しては他の投資と考え方は一緒なので、読んでいただければ幸いです。

売却益の所得の計算方法

仮想通貨の売買で利益を出した場合、1年分(1月1日~12月31日まで)の取引の合計を所得額として申告する必要があります。

所得の計算は、収入-経費なので仮想通貨の取引をこれに当てはめると

売却価額取得価額

で計算されます。

それぞれの価額は取引時の手数料を考慮した後の金額をいい、売却価額は「売却時点での時価」をいい、取得価額は「移動平均法」と「総平均法」のいずれか2つの計算方法で計算をします。取得価額の計算方法は、いずれかの方法を自己選択する必要があり、1度選択した計算方法は、原則3年間継続使用するルールがあります。どちらの計算方法を採用するかは、確定申告期日までに税務署に届出をする必要がありますが、計算方法の届出を行わない場合は総平均法を利用して計算されるものとして扱われます。

今回の論点は、この「取得価額計算の2つの計算方法」であり、現状この計算は基本的には自分ですることになります。取引量が多い方からすると正直かなりの手間で税理士に依頼するのも一つの手段かと思います。

取得価額の計算

ここからは取得価額の計算について、概要説明のうえ実例を交えて解説したいと思います。よく見る例は1年で計算が終わるものが多いので、2年目の投資も含めて計算をするように例を作ってみました。

まず大前提として知っておくべきことは、計算方法によって異なるのは単年度での所得であり、どちらの計算方法を利用しても将来にわたって生じる所得金額、つまりトータルの所得金額は一致するということです。

移動平均法

この計算方法は、仮想通貨を購入する度にその時の平均単価を計算して取得価額を割り出す方法です。

メリットは、その都度、取得原価の計算を行うので、実態に合致した原価で計算が行われ、自分の現状の所得がわかりやすいところにあります。

デメリットは、購入のたびに計算が必要のため、手間がかかるところです。

以下の前提条件の下、実例を交えて計算していきます。

・価格については実際の市場価格とは異なるもの
・取引内容は両計算方法ともに同じ
・2年間で取引は終了
・ビットコインしか売買していない

X1年1/10購入による取得価額は50万円で保有数はこの1ビットコインだけなので、この時点での平均原価は50万円となります。

X1年3/20購入により1/10購入分と平均するので(50万円+70万円)/2ビットコインでX1年3/20購入時点で平均原価は60万円となります。

このようにして取得の都度、平均原価がアップデートされていきます。そのため計算が非常に面倒ですが、X1年5/25売却時の平均原価については売却以前に取得したビットコインで計算を行っているため、取引の実態に即しており、実際売却したときの利益のイメージはこちらが一致してくると思います。

2年目は、1年目の最後の平均原価100万円を用いて計算を行うため、X2年2/10購入時の平均原価は(100万円+100万円+130万円)/3ビットコイン110万円となります。

総平均法

この計算方法は、1年間の仮想通貨購入金額を購入した数量で割った平均を取得価額とする方法です。

メリットは、計算が1年のうち1回で済むため非常に簡便なところにあります。

デメリットは、1年が終わるまで取得原価が確定せず、また実態に合致しない原価で計算が行われるため、実際の所得のイメージと乖離しやすいところにあります。

以下、移動平均法と同じ前提条件で実例を交えて計算していきます。

X1年1/10購入による取得価額は50万円ですが、総平均法は1年終わったタイミングで平均原価計算を行うため、実際にこのタイミングでは平均原価はわからないこととなります。もし1年でこの購入しかない場合は、平均原価は50万円となります。ということで、X1年の平均原価は、(50万円+70万円+100万円+120万円)/4ビットコイン85万円となります。

総平均法は平均原価計算が1回で済むので非常に楽ですが、X1年5/25売却時の平均原価が85万円というのは、単発の取引として利益が5万円というのは取引の実態がそのタイミングでは一致しない印象となります。

2年目は、改めてその年に取得した平均原価を計算します。1年目に取得した2ビットコインについては1年目の平均原価の85万円で2年目に取得したものとして計算を行うため、X2年2/10購入時の平均原価は(85万円+85万円+130万円)/3ビットコイン100万円となります。

総括

2年間トータルの利益金額はどちらの計算方法も70万円となります。これが大前提で書いたトータルの所得金額は一致するという部分になります。ただ、所得税については20万円以下の所得については申告しなくても良いので、今回の例だけでみると現状の税制制度内では移動平均法の方が申告すべき所得としては少なくなります。

移動平均法でみるとX1年度の所得は20万円であり、ギリギリ20万円を超えておらず、他の雑所得がなければ申告は不要となります。

一方総平均法は、X1年度の所得はマイナス10万円出ていますが、仮に他の雑所得がない場合は、この損失部分は通算することができず、また現制度下では他の所得との損益通算や損失の繰り越し等もないためこの損失の使いどころがありません

そのため2年間の合計の申告すべき所得金額については、移動平均法については50万円総平均法については80万円となり、30万円の差異が出ることとなります。

あくまで今回はたまたま、移動平均法のほうが申告すべき所得金額が少なかっただけで、総平均法が少なくなることも状況によっては考えられますし、こればっかりは計算方法を選択する初年度は有利不利の判断を見ることはできますが、2年目以降は市場次第というところになります。

取得価額が分からない場合

万が一取引所が閉鎖した場合や、何らかの理由で個人の取引記録が分からなくなった場合などは取得原価の計算が行えなくなります。昨年の税制改正により仮想通貨の取得価額が不明な場合や、実際の仮想通貨の取得原価が売買による収入額の5%未満の場合等について、売買による収入額の5%を取得原価として事業所得や雑所得の金額を計算できることが認められることとなりました。要は取得価額を売却価額の5%としていいよということです。

これは土地や建物を売却した時、譲渡した時の取得費や、譲渡した株式等の取得費でも同様の扱いがあるのですが、税制改正により仮想通貨においても認められることになりました。

以前までであれば、取得原価が分からないとなれば売却価格が100万円の場合、取得価額は0円で計算されることとなっていたので、100万円まるまる課税所得となっていましたが、今回の改正により、取得価額は売却価格100万円の5%の5万円を取得原価とすることができ、100万円-5万円=95万円の課税所得とすることができます。

さいごに

思った以上に記事が長くなってきたので、仮想通貨のその他の取引についてはまた次回書いていきたいと思います。

今回は売買についてみてきましたが、売買だけではなく、仮想通貨を決済に使用した場合、つまり仮想通貨で買い物をした場合は「仮想通貨を使用することで生じた利益」とみなされ、決済時の時価で仮想通貨を売却したものとみなされます。また同様に、仮想通貨を他の仮想通貨に交換した場合も仮想通貨の交換時に売却したものとみなされ、課税対象となるので、注意が必要です。

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