仮想通貨の確定申告①【概要編】

今回から仮想通貨の確定申告について解説します。

3年ほど前に「億り人」という言葉が世間を賑わせてから、国税庁も仮想通貨に関しての税制制度を整え始めましたが、他の金融商品と比較すると投資家に大部分の計算を強いる部分が多く、優遇税制もない、まだまだこれからルールが整備されていくものと考えられます。

仮想通貨取引と他の金融商品取引の違い

まず大前提として、仮想通貨に関する取引についての所得はすべて雑所得になるものとお考え下さい。この雑所得は、その他の主要所得以外の所得として所得控除もなく税制優遇もほとんど適応されない所得です。FXも雑所得に該当しますが、特例として他の金融商品と同等の優遇措置が設けられています。

では、仮想通貨が他の金融商品と異なり税制上不利と言われるところはどこにあるのか?

大きく下記の3点があります。

課税方法を選択できない

雑所得は総合課税のため他の所得と合算して所得計算がおこなわれます。雑所得と雑所得以外の総合課税に該当する所得全てを合算した合計所得が大きければ大きくなるほど、所得税率が高くなり所得税額も高額になります(累進課税制度)

一方で他の金融商品のほとんどの取引は、分離課税が適用されます。たとえ他の所得がどれだけ大きくても固定税率(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で計算されます。また、任意で総合課税を選択することも可能で、状況に応じて有利(税金が少なくなる方)な課税方法の選択が可能となります

他の所得との損益通算不可

その年1年における仮想通貨取引の損益について、他の金融商品との損益の合算ができませんつまり、たとえ仮想通貨の取引が大赤字で株式取引が大黒字でも、これらを合算して所得を計算することはできません。

株式や投資信託であれば、配当、利子と売買の所得はそれぞれ、配当所得、利子所得と譲渡所得と区分は異なりますが、売買で出た赤字部分の損と、配当、利子を受けた所得部分の益を通算して所得計算することが可能です。

FXについても株式や投資信託などの取引により発生した所得等とは損益通算はできませんが、申告分離課税の先物取引に係る雑所得等(CFD、バイナリーオプション、商品先物 etc)の損益通算は認められています。

なお、仮想通貨取引から生じた損失は同じ雑所得に該当する所得の中であれば損益を通算することは可能なので、他の雑所得に該当する、公的年金等事業に該当しない副業などから生じた所得があれば通算することは可能です。

損失の繰越不可

その年1年における仮想通貨取引における損失について、翌年以降に繰り越すことはできませんなので、税制面の部分で旨味を享受しようとすると損切り等で損失を出すタイミングはかなり難しいことになります。

他の金融商品であれば、損失が出た年に確定申告で損失申告することで損失した年以降3年間にわたりそのマイナス分を繰り越すことが可能なので、損失を計画的に出すことで税制面から投資のマイナスをフォローすることが可能です。

以上の3点から仮想通貨は税制面的に他の投資と比較するとかなり不利です。仮想通貨取引は投資の中でも価格変動が激しいため、このデメリットはかなり辛いです。個人的にはせめて最後の損失の繰越くらいは認めて欲しいものです。

経費算入のルール 

雑所得については収入を得るために支出した費用の経費算入が可能です。

というより基本的に他の所得についても必要経費については収入から差し引くことが可能です。

そもそも所得は、

収入ー経費

を差し引いた部分をいい、これが20万円超の場合は所得税の申告が必要になります(住民税は金額要件ナシなので一応所得があれば申告義務はあります)

とはいえ、経費はあくまで収入を上げるために必要になった経費ですので、なんでもかんでもいれすぎてはダメです。もし経費算入するのであれば、下記のルールを徹底しましょう!

領収書やレシートをしっかり保存しておく

目に見えるものとして最重要のエビデンスです。基本的に、

・日時
・金額
・相手の名前
・内容

の4点が記載されたものが必要となります。

費用按分等があれば計算根拠をしっかり残しておく

電気代やパソコンなど事業と個人の生活の両面で利用するものに関しては、利用割合に応じて一定の基準を設けて計算する必要があります

計算根拠の基となった計算方法については毎年継続する

費用按分等を毎年コロコロ都合よく変えることで恣意性が介入するため、大きく按分割合が変動しない限りは継続して利用すること、つまり経費算入について合理的な説明ができればよいわけです。ただ、なんでもほどほどにしときましょう…

仮想通貨取引の事業所得は可能?

仮想通貨取引については基本的には、すべて雑所得になる。

これが原則です。ただ、仮想通貨取引が「事業」として認められるのであれば、それは「事業所得」として申告が可能となります。そうすれば他の金融商品以外の給与所得などとも損益通算が可能となるだけでなく、損失の繰り越しも可能となるため、かなり最強です。

ただ、正直かなりハードルは高いと思われます。でなければ、みなさん仮想通貨取引に関しては事業の届出だしますからね。

やはり、ポイントはこの「事業」として認められるか否かの判断になります。安易に事業届出を出して「所得がたくさん出た」から「毎日頻繁に取引をしているから」、「命がけで全財産賭けて取引しているから」などの単発的な理由だけでは事業所得として認められません。

ちなみに、判例や裁決事例では、「事業所得とするためには下記要件を充足する必要がある」としているようで、必ずしも全要件を満たす必要はないが、「生活の糧となる」という点を軸にして総合的に判断し、事業的規模があると言えるのでなければ事業所得として申告するのは難しいようです。

・ 営利性・有償性があること
・ 継続性・反復性があること
・ 自らリスクを引き受け、計算をしながら事業を営むものであること
・ 精神的または肉体的に相当の労力を要するものであること
・ 従業員がいたり、設備を備えたりしていること
・ 社会的に認知される職業や地位を備えていること
・ 生計の主軸となるものであること
・ それなりに長い期間において安定した収益が見込めること

わかるようでわかりにくい曖昧な書き方という印象で、最終的には、自己判断と税務署等に事前にお尋ねされるのが賢明かと思われます。

そして、確定申告も税務署からしっかり見られる覚悟は必要かと思います。

もちろんチャレンジするだけの価値はあるくらい事業所得は旨味がありますが、もし事業所得で確定申告をして、雑所得に修正を求められたときの面倒さは計り知れないので注意が必要です。

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