法人年間スケジュール【給与・社会保険】

今回は、2大事務の法人における1年間のスケジュールのうち給与・社会保険事務の解説をしていきます。

以下表は、3月末決算法人を基準としたスケジュールです。

会計・税務

給与・社会保険

4

固定資産税(第1期)の納付

決算作業(決算整理)

株主総会(4月~6月にかけて開催)

5

法人税、法人地方税、法人事業税の申告・納付

消費税等の申告・納付

自動車税の税金納付

6

個人住民税の納付(納期特例)6/10期限

7

固定資産税(第2期)の納付

労働保険の年度更新 (6/17/10

社会保険の月額算定基礎届の提出

源泉所得税の納付 1月~6月分(納期特例)7/10期限

8

9

10

11

法人税、法人地方税、法人事業税の中間申告・納付

消費税等の中間申告・納付

12

固定資産税(第3期)の納付

年末調整

個人住民税の納付(納期特例)12/10期限

1

償却資産の申告

法定調書・支払調書の提出

給与支払報告書の提出

源泉所得税の納付7月~12月分(納期特例)1/20期限

2

固定資産税(第4期)の納付

3

棚卸

給与・社会保険料事務

毎月の事務処理

定例事務

労働保険(労災保険・雇用保険)料の給与天引き

労災保険料は従業員からの給与天引きはなく、 労災保険料は、全て企業側で負担することになっています。

雇用保険は、毎月給与を支払う都度、従業員(雇用保険の被保険者)負担分を天引きします。雇用保険の保険料は、従業員負担分と企業側負担分に所定割合で按分されます。

この労災保険料と雇用保険料は、労働保険の申告・納付で国に納めます。

社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)料の給与天引き及び保険料納付

健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、毎月給与額(社会保険では、標準報酬月額といいます)から前月分の保険料を給与天引きします。

その保険料は、従業員と企業側で折半となっています。

天引きされた保険料は、企業側負担分と合わせてその翌月末日までに納めます。

臨時事務

社会保険の報酬月額変更届(随時)

社会保険の標準報酬月額は、毎年1回行われる報酬月額算定基礎届で決定されます。

しかし、昇給・降給などで報酬が著しく変動する場合には、この年1回の決定方法では実態に合わなくなることがあり、著しく変動があった月以降の3ヶ月の報酬を基に4ヶ月目から、標準報酬月額を改定することになっています。

この改定のために「報酬月額変更届」を提出することになっています。

①報酬月額変更届の算定方法

昇給・降給などで、基本給や手当などの固定給が変わったり賃金体系が変わる場合があります。この変更月から継続した3ヶ月の報酬の平均額と、現在の標準報酬月額を比較して大幅に変動があったときに届出が必要となります。

大幅な変動とは、標準報酬月額を決める際に使われる標準報酬月額表によって2等級以上の差があるときです。

②提出期間

大幅な変動があった月から3ヶ月が経過した4ヶ月目に速やかに提出しましょう

③提出先

提出先は、企業加入先の健康保険制度によって次の2通りとなります。

・年金事務所(全国健康保険協会管掌健康保険に加入している場合)

・年金事務所と健康保険組合(組合管掌健康保険組合に加入している場合)

④保険料が改定される時期

標準報酬月額が改定され保険料が変わるのは3か月経過後の4ヶ月目です。

改定された月によって次の期間に適用されます。

・1月~6月に改定された場合

→8月まで適用

・7月から12月に改定された場合

→翌年8月まで適用

社会保険の賞与支払届(支給され次第)

毎月の給与と同じように、年3回までの賞与についても、社会保険料を天引きして納めます。

支給した場合は、従業員の賞与額を5日以内に、「賞与支払届」という書式でその額を届け出ます。なお、賞与支給予定月に支給しなかった場合でも、不支給として届け出ることになっています。

賞与を年4回以上支給する場合には、前述の報酬月額算定基礎届の対象となりますから注意が必要です。7月前に支給された賞与合計額を12で割った額を加算して、報酬月額算定基礎届を提出することになります。

提出先は、企業加入先の健康保険制度によって次の2通りとなります。

・年金事務所(全国健康保険協会管掌健康保険に加入している場合)

・年金事務所と健康保険組合(組合管掌健康保険組合に加入している場合)

労働保険の年度更新(申告・納付)

保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間の保険年度を単位として計算します。

その額は、従業員の年間の賃金総額に、その企業の事業ごとに決まっている保険料率を掛けて算出します。

企業では、毎年4月1日から始まる新年度の保険料を概算額である「概算保険料」で申告・納付するのと同時に、 前年度の保険料の確定額である「確定保険料」を申告・納付する手続きを行います。

つまり、既に納付した概算額との差額精算を、年1回毎年行うわけです。

1、労働保険料の申告

労働保険料の申告書は、毎年7月10日までに、都道府県労働局、労働基準監督署に提出します。

納付する保険料があれば、金融機関・郵便局でも提出できることになっています。

2、労働保険料の納付方法

労働保険料は一括納付が原則。 年間の概算保険料額が40万円以上(労災保険または雇用保険のいずれか一方のみが成立している場合は、20万円以上)であれば、3回に分割納付が可能です。

また、労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託している場合には、概算保険料の額にかかわらず分割納付ができます。

<各期の納付期限>

全期分または

第1期分 7月10日(保険期間4月1日~7月31日分)

第2期分 10月31日(保険期間8月1日~11月30日分)

第3期分 翌年1月31日(保険期間12月1日~翌年3月31日分)

月額算定基礎届の提出

従業員個人ごとの社会保険料は、給与額に応じて決定されます。

給与額のことを社会保険では、「報酬」と言います。

報酬は、残業手当などがあると毎月変動しますから、毎月の保険料計算はとても煩雑です。

そのため社会保険では、報酬をいくつかの等級区分に当てはめ報酬(標準報酬月額)を毎年1回決めることにしています。 この決定を行うために提出する届を「報酬月額算定基礎届」といいます。実務では、この「標準報酬月額」を基に毎月の保険料を計算します。

1、報酬月額基礎届の算定方法

毎年7月1日に在籍している従業員の4、5、6月の3ヶ月に支払われた報酬の平均額を計算し届け出ます。 この届出により決定された各従業員ごとの標準報酬月額が企業に通知されます。

2、提出期間

毎年7月1日から7月10日までの間に届出。

3、提出先

提出先は、企業が加入している健康保険制度によって次の2通りとなります。

・年金事務所(全国健康保険協会管掌健康保険に加入している場合)

・年金事務所と健康保険組合(組合管掌健康保険組合に加入している場合)

4、保険料が改定される時期

その年の9月から、標準報酬月額が決定され保険料が改定されます。

その標準報酬月額は、9月から翌年8月まで有効となります。

年末調整

年末調整は、簡単にいうと所得税の確定申告のスモール版です。

大部分の会社員は「毎月の源泉徴収」「年末調整」を会社が行ってくれることにより、確定申告をする必要がありません。

毎月の源泉徴収は、去年の情報をもとに所得税計算を行い、年末に適正な情報を従業員に提出してもらい、その情報をもとに再計算をおこない、一年間に支払うべき適正な所得税を調整します。

年末調整の概要については、まずは以下の記事を参考にしてみて下さい。

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法定調書・支払調書

法定調書は、所得税法や相続税法上などで提出することが定められている資料のことで報酬等の支払い関係を税務署に報告するものです。

それにより税務署は、各種報酬等のお金の支払いがあった場合に、その事実を届出させることで、お金の動きを把握します。そのときに提出させる資料が法定調書です。

それを合計したものを法定調書合計表といい、全59種類ある法定調書のうち作成した法定調書すべてを種類ごとに集計して記載するものです。

記載する主な内容

給与所得の源泉徴収票合計表

給与を支払う者は必ず作成しなければならないものです。

提出義務者 「給与所得の源泉徴収票」を提出するのは、給与を支払った側、つまり会社や事業主です。ただし、年末調整を行っていて税務署に提出しなければならないのは、次のような場合です。

・役員の場合:150万円を超えて支払われた給与等

・弁護士、司法書士、税理士等の場合:250万円を超えて支払われた給与等

・その他の場合:500万円を超えて支払われた給与等

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

個人事業主の方などは、原稿料や作業に対する報酬を受け取ることも多いと思います。このような場合に作成されるのが「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」です。

提出義務者 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出義務者は、外交員報酬、税理士報酬などの報酬、料金、契約金及び賞金の支払いをする人です。

提出する範囲の例示は、次のようなものです。

・外交員、集金人の場合:合計金額が50万円を超えて支払われた報酬、料金

・馬主の場合:75万円を超えて支払われた競馬の賞金がある年のすべての支払い額

・プロ野球選手の場合:合計5万円を超えて支払われた報酬や契約金

・弁護士の場合:合計5万円を超えて支払われた報酬や原稿料

・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬の場合:一人に合計50万円を超えて支払われた診療報酬

提出期限

これらの法定調書は、原則翌年1月31日が提出期限となっています。

その際、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」をあわせて提出します。

給与支払報告書

給与支払報告書は個人別明細表と総括表の2つが組み合わさったものを指します。

個人別明細書

書かれている内容は源泉徴収票と同じです。

給与を受ける者の氏名、住所、生年月日、給与の金額、保険料控除の金額などが書かれています。 違いは「提出先が税務署ではなく市区町村であること」と「用途が住民税と国民健康保険の計算」であることです。

総括表

個人別明細表の表紙としてお考え頂ければと思います。

その市区町村には、その会社から何人の従業員の個人別明細書が提出されたのか、うち退職した人は何人いるか、などが記載されます。 そのため、従業員が住んでいる市区町村の数だけ総括表と個人別明細書が組み合わされた「給与支払報告書」が作成されることになります。

提出期限

1月31日までに市区町村に提出しなければなりません。(31日が土日祝と重なる場合には、次の平日)

まとめ

ここまで給与・社会保険事務編について解説してきました。

給与・社会保険事務は基本的に、会計・税務業務のような日次事務はなく、月次・年次業務が主となります。これが、日々の業務のボリューム差の要因となります。

ただ、給与・社会保険事務は従業員の生活に直結するため、従業員のモチベーションに大きな影響を与えるので非常に重要な業務ですので、しっかりと事務的スケジュールはおさえておきましょう。

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