消費税の申告有無の判定方法

消費税第2弾

消費税の申告・納税義務の判定について書きたいと思います。

消費税が課税される取引

前回、最後に判定の第一段階としてまず「事業者」か否かが大前提になると話しました。これは、消費税の課税の対象となる取引は次の3要件を満たす必要があり、近年特にその中でも「事業」という言葉が論点になるところが多いからです。

1、国内(日本)において行われる取引であること
2、事業として対価を得て行われるものであること
3、資産の譲渡・貸付、役務の提供であること

 

1は、国内の取引には消費税かけますよ(海外の取引は日本の消費税はかかりません)

3は、モノを売ったり、貸したり、サービスを提供する取引は消費税を課しますよ

という感じです。

なんとなく、1と3はイメージが湧くかなーと思いますが、曲者はやはり2です。

事業とは基本的には事業者が行うものですが、一部例外があります。

事業者の区分を下にまとめてみました。

まず、法人はすべて事業者に該当します。個人も個人事業を行っていれば、事業者になります。会社員は一般的には事業者ではないのですが、副業部分については一部事業として取り扱われる可能性があります。

ここで一番難しいのは、副業が事業として判断されるラインです。

事業とは、対価(見返り)を得るために、継続反復して商品売買やサービスの提供などの取引を行なうことをいいます。

たとえば、某オークションサイトで自分の服や靴などの生活用品等を売ることは事業に該当するでしょうか?

これは対価を得る目的ではありますが、事業として、どこかで仕入れてきた商品ではなく、継続的な取引目的ではなく、あくまで限定的な取引であると考えられるため、事業に該当せず消費税はかからないこととなります。

もし、これが対価を得る目的のために、どこかから服を安く仕入れ、某オークションサイトで継続的に販売している場合は事業に該当すると考えられます。

ただ、ここら辺のニュアンスはかなり曖昧で、説明の仕方で白にも黒にもなりそうなところです。そのため基本的には次の売上基準で判断するのが一番わかりやすいと思います。

もしそこで会社員の方が副業のみで、消費税の納税義務者に該当する可能性がありそうな場合には、税理士や税務署に正直に相談されて、判断をゆだねるほうが賢明です。

申告・納税義務の判定

少し小難しい言葉も多いので、超ざっくり知りたい方は、最後のまとめを見ていただければと思います。

個人の消費税の納税義務判定を行うケースは主に下記のとおりとなります。

・原則判定
・特定期間における課税売上高
・課税事業者を選択した場合
・高額特定資産を取得し一般課税で申告した場合
・相続があった場合

このうち

・原則判定

・特定期間における課税売上高

・課税事業者を選択した場合

の判定について書きたいと思います。

この3つで大部分の個人の方は自分が消費税の納税義務者に該当するか否かわかると思います。

まず、消費税の納税義務者に該当するかの判断は、税務署側は取引の詳細まで把握しているわけではなく、通知などはしてくれません。所得税と一緒で「申告する必要があるならあなたから申告してねスタイル」のため、自分で判断しなければなりません

なので自分が消費税の納税義務者に該当しているにも関わらず、申告しておらず数年後に税務調査に来られて無申告を指摘されるなんて話はよくある話です。

そして、消費税の納税義務者が申告すべき消費税は、昨年の一年間の取引の消費税額を3月31日までに申告、納付することになります。

ここからは下記の図を参考に説明していきたいと思います。

原則判定

まず、原則判定は基準期間における売上規模で判定します。

基準期間=前々年をさします。

今年の申告ベースでみると、去年の申告計算期間の前々年(H29/1/1~H29/12/31)の課税売上高が1千万円超の場合、消費税の申告納税義務者に該当します

基準期間における課税売上高が1千万円以下であれば消費税の申告納税義務者には該当しないため、2の判定に移ります。

ここでいう課税売上高とは、上で述べた消費税が課税される取引の3要件を満たした売上のことをいいます。ただ、土地の賃料や売買、医療や教育にかかわる取引などは非課税とされる取引もあり、納税義務判定上の課税売上からは除かれるため、注意が必要です。気になる方は「消費税 非課税」で調べると該当するものが出てくると思うので、よかったら見てみてください。

特定期間における課税売上高による判定

1で消費税の申告納税義務者に該当しなかった場合、特定期間における課税売上高による判定が必要となります。

特定期間=前年の上半期をさします。

今年の申告ベースでみると、去年の申告計算期間の前年の上半期(H30/1/1~H30/6/30)の課税売上高が1千万円超の場合、消費税の申告納税義務者に該当します

基準期間は1年間の売上で判定しますが、特定期間は個人の上半期による売上だけで判定されます。課税売上高の考え方については1と同様です。

1と2の判定で両期間の課税売上高が1千万円以下である場合は、消費税の申告納税義務者には該当しません。

軽く例をあげときます。

①基準期間の課税売上高 1,200万円 特定期間の課税売上高 900万円
基準期間の売上要件を満たすため、消費税の申告納税義務者に該当

②基準期間の課税売上高 1,000万円 特定期間の課税売上高 1,200万円
基準期間の売上要件を満たさない(1,000万円はギリセーフですが、特定期間の売上要件を満たすため、消費税の申告納税義務者に該当

③基準期間の課税売上高 1,000万円 特定期間の課税売上高 800万円 (H30年の1年間の課税売上高は2,800万円)
基準期間の売上要件を満たさず、かつ、特定期間の売上要件も満たさないため、消費税の申告納税義務者に該当しません(特定期間の含まれる年の1年間の売上は判定に関係ありません)
課税事業者を選択した場合

これは、消費税課税事業者選択届出書という書類を税務署に提出することで、1と2の判定で消費税の申告納税義務者に該当しない場合でも自分から消費税の申告納税義務者になることができます。

わざわざ自分から手間とお金をかけて、消費税の申告納税義務者を選ぶ輩がいるのかと思う方もいるかもしれません。実は今回、私もこのパターンで消費税の課税事業者を選択しています。

わざわざ課税事業者を選択するのは消費税の還付を受けられるからです。

前回消費税は、

売上に係る消費税仕入れに係る消費税

を差し引いた金額が消費税の納税額となると書きましたが、これがマイナスの場合、つまり仕入れに係る消費税の方が大きい場合、消費税の還付を受けることができます。

ただ、これは消費税の申告納税義務者になっている必要があります。

消費税の申告納税義務者でない場合は、たとえ還付があったとしても消費税の還付は受けられません。今回私も少額ですが、仕入れに係る消費税の方が大きくなる見込みが強かったため、事前に課税事業者選択届出書を税務署に提出していました。

この課税事業者選択届出書は事前提出の必要があるので、今年であればH30年中に提出する必要がありました。私は昨年から個人事業を開業しているので、その場合であれば特例的に昨年末までに提出することで消費税の申告納税義務者になることができます。

一度課税事業者選択届出書を提出すると最低でも2年間は消費税の申告納税義務者を強制されるので、短期的な還付目当てで提出するのはおすすめできません。

さらに、意図的に消費税の還付を狙うようなスキームを国も警戒していることもあり、還付については国側もしっかり内容を確認してくる傾向に現状あると思われます。

将来的な設備投資や売上見込みをしっかり計画立て、また税理士や税務署に事前に相談出来る場合のみ提出することをおススメします。

まとめ

あくまで、今回の判定はほんの一部であり、特に個人で事業をされている方に対して、なにかしらの引っ掛かりの要素になればと思っているところなので、最終の判断はやはり税務のプロにお尋ねされる方が良いです。

本当に細かいところを言い出すとキリがないので、あくまでかるーい参考くらいにどうぞ

たらたら難しいことを言いましたが、最後に簡単にもう一度

前々年の売上が1,000万円を超えてそうかも

前年の1~6月の売上が1,000万円超えてるかも

いずれかに該当しそうであれば、あなたは消費税の申告納税が必要かもしれません。

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