採算管理に使える「損益分岐点」分析(概要編)

企業経営を行うということは、

計画、実行、評価、改善を行う「PDCAサイクル」をエンドレスに回し続けなければなりません

今回は、このPDCAサイクルを回すために必要な採算管理の方法の一つとして、会計の数値を使った「損益分岐点分析」について解説したいと思います。

世間では、様々な方法や角度から分析、立案を行う採算管理手段があると思います。

会計数値を使う分析なので、人の恣意性が入りにくい分析であり、「数字」という明確な結果が見え簡易な分析でしたら仕組みづくり等も不要なのでスタートアップなどでまず採算管理として使うのにオススメです。

採算管理を行う理由

採算管理という言葉は、非常に広義な意味で捉えられ、手段としては

原価管理、在庫管理、勤怠管理、工数管理等

ざっと上げても様々な手段があり、人によって範囲も考え方も異なってきます。

 

では、そもそも企業はなぜ採算管理を行う必要があるのか?

それは、会社は時系列やウエイトの異なる多くの業務を抱えており、それを並行してこなすため、円滑に業務を進める必要があるからです。

1プロジェクトであれば、大まかな数字の動きは感覚的に把握できるかもしれませんが、ほとんどの企業では複数プロジェクトで動いていることが大半だと思います。

複数プロジェクトを採算管理するとなると各プロジェクトに紐付く、収支実績の詳細やプロセス進捗予定を確認できなければ、企業の「資金繰り」「スケジューリング」に支障をきたします。これが管理できなければ、当然クライアントの「信頼」を失い、会社として収益を上げることが困難になります。

これを防ぐために行うのが、採算管理であり、円滑な採算管理により数字の異常値を早期に発見し、プロジェクトの正常進行が可能となります。

ただ、恐らく多くの経営者は自然と何かしらの採算管理を行っているはずです。

それは法人でも、個人でも、必ず手元にある程度のお金がなければ生きていくことさえできないからであり、自然と自己防衛が働くからです。

なので、あまり難しく考えず、最初はできる範囲で感覚的に取り組むのでも良いと思います。ただ、それを見える化してエクセルや紙でも良いので、形に残しておきましょう。

それが必ず未来に生きてきます。

 

基本的に採算管理の精度・スピードを上げるには、継続してPDCAサイクルを回して、自社だけでなく、同業他社、同規模他社、ベンチマーク他社の情報収集と比較によるアップデートが重要になります。

そして、採算管理は全社的なものではなく、部門ごとやプロジェクトごとに細分化して取り組む必要があります。

今回は、そのスタートとして会計数値を使った「損益分岐点」分析を紹介します。

損益分岐点とは?

「損益分岐点」とは、損失が出るか利益が出るかの境目のことで、会社の採算ラインを示す経営指標をいい、英語で「Break-even point」と言われ、BEPと表現されることもあります。主に採算性の実績分析、将来の売上単価変動、費用の見直しなどに際して、簡単で有効な分析ツールとなります。

「損益分岐点売上高」とは損益分岐のポイントである売上高をいいます。つまり損益分岐点の売上高があれば、赤字にはならないという売上高で、「売上高=費用」で2つの関係が等しくなること売上高をいいます

この損益分岐点は、企業経営において、そのプロジェクトで「達成すべき最低限の売上目標」ともいえます。

つまり、損益分岐点が分かると、絶対達成すべき売上目標が明らかになります。

 

損益分岐点売上高は、損益分岐点売上高を上回れば黒字経営、損益分岐点売上高を下回れば赤字経営というように、比較的簡単に業績の良否判定ができるので、簿記や会計が苦手な経営者でも利用しやすい経営指標です。

また、損益分岐点売上高に占める売上実績の構成比率(損益分岐点比率)を求めると、会社の安全性の評価も可能となります。業界によっても異なりますが、一般的には、60%未満が超優良企業とされ、60~80%は優良企業81~90%は普通企業91~100%は損益分岐点企業、そして100%超は赤字企業といわれます。

計算方法

損益分岐点売上高の計算については、以下の手順で計算します。

費用を「変動費」と「固定費」に分類する

費用を、性質ごとに変動費と固定に分類していきます。はじめはあまり難しく考えず、会計の勘定科目ごとに分類する方法をオススメします。

① 固定費の集計

売上高に関わらず固定的に発生する費用を集計します。

例:人件費(基本給部分・賞与等)、家賃、交際費、会議費、租税公課、消耗品、保険料 etc

② 変動費の集計

生産量や販売量の増減に伴って変動する費用(固定費以外)を集計します。

例:売上原価、人件費(残業代)、外注費、資材費、工事現場で要するリース料、工事現場までの出張旅費 etc

「変動費率」の算定

計算式:(変動費÷売上高)×100

売上に占める変動費の割合を算出することで、変動比率を算定します。

「限界利益率」の算定

計算式:100%ー変動費率

売上高に対する限界利益の割合のことを指します。

つまり、売上高が増加したときに、限界利益がどれだけ増加するかという割合を示します。固定費が売上高とは無関係に一定であるため、限界利益率こそが売上高の増減に伴う企業の利益の増減そのものをいいます。

損益分岐点売上高

計算式:固定費÷限界利益率

固定を限界利益率で割戻ことで、現会計数値における、損益トントン部分の売上高が計算できます。

もちろん、この売上高は、変動費や固定費の振り方が変わると変動するので、定期的にアップデートしていく必要があります。

損益分岐点比率

計算式:損益分岐点売上高÷実際売上高×100

損益分岐点比率とは、実際の売上高と損益分岐点売上高の比率を計算したものです。この数字は、低ければ低いほど、売上低下による赤字への影響が少ないといえます。

この時の比率によって、企業の体力が見えてきます。

まとめ

ここまで採算管理の必要性と損益分岐点の計算方法を解説しました。

次回は、この「損益分岐点」分析について、具体的な例、数値を用いて分析していきます。

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