貸借対照表② 実践編

前回に引き続き貸借対照表の第2弾で、実際に貸借対照表をみていこうと思います。

追加仕訳

「財務諸表と複式簿記」の回で作ったものに何個か下記の取引をプラスしたもので、再度作成してみました。仕訳についてもしっかり解説も入れていますので、簿記の理解参考にしてもらえればと思います。

また一応ストーリーがあったほうが分かりやすいと思うので、3月1日に会社を設立して1ヶ月後の3月31日時点の貸借対照表というイメージです。

⑨ 商品製造のための50万円の機械を掛けで購入し、翌月支払う予定である。

(機械装置)500,000 (未払金)500,000

機械の購入は資産の増加未払金は将来お金を支払う義務(債務)であり未払金の増加による負債の増加となり、資産の50万円増加、負債の50万円増加という仕訳になります。

なお、掛け購入なのに未払金じゃなくて買掛金じゃダメなの?と思う方もいるかもしれませんが、買掛金は商品や材料の仕入など、自社の営業のメインとなる取引、つまり売上に直接つながる取引によって発生する債務をいい、未払金は固定資産や消耗品の購入など、自社の営業のメインとなる取引以外の取引によって発生する債務をいいます。

今回は固定資産の購入なので未払金の勘定科目で処理されます。

⑩ 銀行から100万円のお金を借りた。なお、借入金のうち1年以内に支払うものは30万円、1年を超えて支払うものは70万円とする

(普通預金)300,000 (短期借入金)300,000
(普通預金)700,000 (長期借入金)700,000

→資金の借入は、預金の増加は資産の増加返済義務のある借入金の増加は負債の増加となり、資産が100万円増加し、負債が100万円増加という仕訳になります。

今回は借入金のうち1年以内と、1年超の区分分けがあるため、1年以内のものは短期、1年超のものは長期で科目を分けています。前回記事で書いた「1年基準」で借入金の科目を区分して仕訳することで、翌期にどれだけ借入金の返済があるかを貸借対照表上見ることができます。

なお、上の仕訳はこのような形で書いてもOKです。むしろ実務的にはこっちがメジャーです。

(普通預金)1,000,000 (短期借入金)300,000
(長期借入金)700,000

また、この借入のタイミングでは借入金という科目を使い、決算のタイミングで長期と短期を分けるというパターンもあります。

・借入時
(普通預金)1,000,000 (借入金)1,000,000

・決算時
(借入金)1,000,000 (短期借入金)300,000
(長期借入金)700,000

どれも最終の結果は一緒なので好みや会社のルールによって処理は異なります。

⑪ 車を65万円で購入し、翌月支払う予定である

(車両運搬具)650,000 (未払金)650,000

機械と考え方は同様なので割愛

⑫ 事務所を借りて敷金を預金から支払った(退去時に原状回復費用を差し引いた金額が返還される)

(敷金)100,000 (預金)100,000

敷金の科目名に関しては、簿記の試験では、差入保証金などの勘定科目を使うかもしれませんがここでは、敷金そのままにしています。

敷金は契約書によって取り扱いは異なってきますが、今回は敷金を支払ったタイミングでは上記仕訳となります。なお,、敷金は将来お金が戻ってくる権利ですので、資産に該当し資産の増加預金の減少は資産の減少となり、資産が10万円増加し、資産が10万円減少という仕訳になります。

なお参考で、今回の貸借対照表に関係はありませんが、もし退去時に3万円の原状回復費が発生した場合の仕訳は以下の通りとなります。

(預金)70,000      (敷金)100,000
(支払手数料)30,000

原状回復費は費用の発生敷金10万円との差額がお金として返ってくるため資産の増加となります。敷金は、もらえる権利がなくなったため資産の減少としてこのタイミングで消滅します。

以上の上記仕訳に加え以前までの仕訳も含めた仕訳帳を載せておきます。

これらの仕訳を全て加味したもののうち、資産、負債、純資産に該当するものが貸借対照表に記載されます。時間ある方は科目ごとの貸借を加減算すれば金額が一致することを確認してみてもいいと思います。一応話の流れ上損益計算書も必要なので、一緒に乗っけときます。

ここからは、貸借対照表に解説を入れていきます。

これは3月31日終了時点の会社の財務状況を示しています。

資産の部

現金及び預金

まず一番上には最強の流動資産である現金及び預金が記載されています。名の通り現金と預金残高を合算した金額です。別に現金と預金分けて記載しても問題ないのですが、現金は3/31時点では20,000円しか残高(仕訳日記帳伝票3と4から)がないため、あえてまとめてすっきりさせています。

これくらい項目少ないのなら逆に載せてあげたほうが良いかもしれせんが、大企業になると金額が僅少のものを乗せてしまうと情報が多くなりすぎてしまい、かえって見にくくなるので、まとめても問題ないのです。

会計では重要性の高いものはちゃんと表示してくださいねという「重要性の原則」が大原則なので、金額が大きいものや、主要科目や会社独自で使用する勘定科目などはちゃんと表示する必要があります。

売掛金

次に売掛金ですが、基本的には1~3か月スパンで回収できるものがほとんどだと思うので、売掛金は主要科目のうち現預金に次いで流動性は高いと思います。

ちなみに、大企業の貸借対照表では、売上債権というまとめた形で表示されることがあります。売上債権は売掛金や受取手形等のキャッシュをもらう権利をまとめて表示したものです。売掛金も受取手形も権利という枠では一緒であり、まとめてしまってもそこまで投資家判断に影響を及ぼすものではないところもあるのでしょう。

最近は、あまり手形を発行するケースはあまり多くないため、売上債権の大部分は売掛金がメジャーです。

機械装置、車両運搬具

次に固定資産の機械装置と車両運搬具ですが、ここの金額の表示の仕方は「取得金額」か「現在の帳簿上の価額」で表示する方式があります。ここは、損益計算書の減価償却を話してから詳しく説明します。

具体的にどのような処理を採用したかを記載する「注記表」というものを財務諸表には付けるのが一般的で、そこに有形固定資産と無形固定資産は表示の仕方を記載するのが一般的なので、ここも次回以降どこかで見ていきたいと思います。

敷金

敷金に関しては、投資その他の資産に表示されます。基本的には事務所なんてそんなコロコロ変えるものでもないので、敷金の返還のタイミングは事務所解約時になると思うので、一般的には流動性は低いためここに表示されます。

負債の部

考え方は資産と同じで、支払いのタイミングが早いものから並べるのが一般的です。ちなみに長期借入金については1年以上先に支払う借入金なので、1年後には流動資産に振り替える必要があります。

1年後、長期借入金のうち1年以内に支払う借入金は40万円だとするならば、以下の仕訳になります。

(長期借入金)400,000 (短期借入金)400,000

借入金の振替仕訳をきることで長期借入金の残高は30万円になります。

純資産の部

資本金

これは会社設立時に出資した金額です。よく勘違いされるのが、資本金が100万だからその金額を常に会社に置いとかないといけないという訳ではありません。

これはあくまで過去から現在まで出資された金額なだけで、資本金=それだけの資金があるという安易な考えではないので注意してください。

利益剰余金

ここの繰越利益剰余金の金額は、一般的には過去の利益と今期の利益を足した金額となります。この会社は1期目なので、過去がないので損益計算書の1番下の当期純利益の金額がそのまま入ってきます。

ここを見ると過去から現在の利益の積み上げが分かります。

さいごに

ここまで貸借対照表をみてきましたが、仕訳との流れで少しは理解できたでしょうか?

ある程度、貸借対照表で使う主要勘定科目はどこも一緒で、並び順もある程度決まっています。とはいえ会社によって業種、業態、決済手段等様々な面で異なるため、ゴリゴリに固めたルールで縛ることは不可能です。

そのため、会社独自の勘定科目を作成しても構いませんし、基本的に流動資産や有形固定資産、無形固定資産など勘定科目が属する部分のすみ分けさえしっかり区分分けできていれば、勘定科目の並び順に関してもある程度自由に並べても問題ありません。

上の貸借対照表で別に機械装置と車両運搬具の並びが逆とか短期借入金と未払金が逆でも全く問題ありません。

言い方あれですが、非上場であれば全く問題ないです正直。銀行が根掘り葉掘り聞いてくるくらいです。

簿記も財務諸表見るのも結局は慣れなので、上場会社などの貸借対照表を色々見て勉強するのもいい勉強になると思います。

次回は損益計算書を見ていきたいと思います。

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