今回は、アフィリエイト広告の収益認識について解説します。
アドセンス広告に比べ売上の「期ズレ」が起こりやすいため
「売上として計上する時期」
「入金時の処理」
についてしっかり抑えていきましょう。
アフィリエイト広告とは?
アフィリエイト広告は、アフィリエイターが仲介会社(ASP)と契約し、商品に関する記事を記載した広告をいいます。
その記事の中にアフィリエイトリンクを設け、記事を見た人が、アフィリエイトリンクをクリックし申し込みを行い、さらに広告主の承認条件をクリアした時に、記事を記載したアフィリエイターにお金が支払われる仕組の広告です。
案件ごとに承認率もさまざまで、ほぼ100%の案件もあれば、平均承認率が20%台という案件もあります。
具体的にアフィリエイトの申し込みから入金までの仕組みは、大きく分けて下記の4つに分けられます。
②記事の読者が、アフィリエイトリンクから申し込みを行い、アフィリエイトの管理画面上、発生報酬として表示される
③案件ごとに設けられている承認基準をクリアし、広告主に承認
④アフィリエイト報酬の入金
売上の計上時期
売上計上の考え方の根本は、アドセンス広告と同じように「実現主義」の考え方で良いです。
改めて、「実現主義」は売上を生み出す権利が確定したタイミングで売上の認識をすることをいいます。このアフィリエイト広告の場合、上記申し込みから入金までのタイミング①~④のうち、どこで売上を認識すべきでしょうか?
結論として、売上を認識するタイミングは、
③案件ごとに設けられている承認基準をクリアし、広告主に承認されたタイミングとなります。恐らく②の発生報酬表示のタイミングと迷われると思います。
この「発生報酬」というワードが、そもそも売上計上したくなるフレーズで紛らわしいですが、②のタイミングは、あくまであなたのアフィリエイトリンクから申し込みがあったことに関しての、報酬が発生する可能性の速報に過ぎず、この時点でアフィリエイト広告が広告主から承認されたわけではありません。
なので、発生報酬はあくまで「可能性の話」であり、この時点では「確定報酬ではない」わけです。
会計の「実現主義」的に考えても、可能性ベースの報酬を売上として計上し、報酬をもらえる権利の確定と考えるのは時期尚早であり、事実承認却下も決して少なくないことから、③の広告主から承認されたタイミングが権利の確定として売上の実現と考えるのが、自然だと思います。
ただ、アドセンス広告と大きく異なるところは、この発生報酬速報である②のタイミングと売上確定とすべき③のタイミングは、広告案件によってタイムラグが大きく異なるところです。
アドセンス広告は確定時期が一定ですが、アフィリエイト広告は、承認が即日のものもあれば、90日程度要するものもあります。
例えば、個人で考えれば、×1年10月に発生報酬の速報が出たとしても、広告の承認が×2年1月であればそれは、×2年の所得として認識すべき収入となります。
これを仮に、発生報酬の速報が出たタイミングで売上の認識をしてしまうと、本来認識すべき年と違う年に売上を認識していることなります。
これを前回も話した「期ズレ」といいます。
ここに関しては、次回詳しく書きます。
極端な話、②と③の時期のタイムラグが短いのであれば、仮に②のタイミングで売上計上し③のタイミングで承認されなかった場合であっても、同年に売上の修正が可能なことが多いため、この「期ズレ」問題はほとんど起こりません。
なので、アフィリエイト広告の売上の計上については、
「案件ごとに設けられている承認基準をクリアし、広告主に承認されたタイミングで売上計上すること」
をしっかり抑えておきましょう。
会計処理
アフィリエイト報酬200,000円の発生から入金までの仕訳例です。
発生報酬速報時
仕訳なし
広告主承認時
アフィリエイト報酬入金時
ASP側が振込手数料負担
アフィリエイター側が振込手数料負担(振込手数料500円の場合)
(支払手数料)500
外交員として源泉徴収された場合(振込手数料はないものとし、源泉徴収額(報酬-12万円)×10.21%で計算)
(事業主貸)8,168
会計処理については、(1)では売上の計上はせず、(2)のタイミングで売上計上をします。(3)の入金時の処理は、仲介業者であるASPごとに取り扱いが変わってきます。
アフィリエイト報酬の入金までの期間は、およそ1~2か月かかり、ASPにより異なり、振込手数料についてもアフィリエイター負担の場合もあれば、ASP側が負担してくれる場合もあります。
また、ASPによっては、アフィリエイト収入を「外交員」として源泉徴収している場合があるためその場合は処理が変わってくるので注意が必要です。
一応、「外交員の源泉徴収」については、国税庁のHPを乗っけておきます。
入金時については、振込手数料や源泉徴収により売上として認識した金額と入金額に相違が出る可能性があるため、通帳の入金額と確定報酬が記載された資料の2点をしっかり確認することが重要となります。
さいごに
ここまでアフィリエイト広告についてみてきました。
次回は、前回と今回の記事を踏まえて「期ズレ」の部分について触れていきたいと思います。